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Nexon社のオンラインゲーム『メイプルストーリー』のオリジナル小説です。ゲーム内には無い表現を多々含んでおります。
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2010年文化際出品作品 【Are there any ability for anyone-誰のために剣を振る-】
2010/11/01 Monトラックバック(1)コメント(3)
2009年文化祭出品作品【女神に捧げる約束の鎮魂歌】
2010/10/28 Thuトラックバック(0)コメント(0)
漆黒の狂戦士 影と闇の狭間で・・・ Part4 完結
2010/05/25 Tueトラックバック(0)コメント(1)
漆黒の狂戦士 影と闇の狭間で・・・ Part3
2010/05/07 Friトラックバック(1)コメント(2)
漆黒の狂戦士 影と闇の狭間で・・・ Part2
2010/02/10 Wedトラックバック(0)コメント(2)
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■■■2010年文化際出品作品 【Are there any ability for anyone-誰のために剣を振る-】
2010/11/01 Mon外伝小説etc
今年も飛び入りでありますが文化際に参加させていただきました。
時事ネタとしては申し分ないであろう、ビックバンへの流れを韓国のGMが書かれた漫画を元にオリジナルの話とさせていただきました。

文化際 in MapleStory 2010
http://www20.atpages.jp/maplebunka/2010/index.html


元ネタとなった韓国メイプルストーリーのGMの漫画
ネタバレ?になるかもなので後から読んでいただければ幸いです。
ちなみに翻訳はしていませんし、出来ません\(^o^)/
雰囲気で考えてやってます(笑
あとリンクへのアクセスは自己責任で。
http://blog.naver.com/ork0000/120110322446
http://blog.naver.com/ork0000/120110813284
http://blog.naver.com/ork0000/120111456862


添削作業を手伝ってくれた、轟、猫石ありがとうございました^^


◎登場するオリジナルキャラクター
ロキアルド【ヒーロー】
ロキアルド
シュウレイ【アークメイジ】
シュウレイ
あぁさぁ【ナイトロード】
あぁさぁ
マルゴー【パラディン】
マルゴー
シェナロダ【ダークナイト】
シェナロダ
ファルセニア【デュアルブレイド】
ファルセニア


Are there any ability for anyone
-誰のために剣を振る-





大いなる脅威へ立ち向かうためには、強大な力が必要なる。
当然の理である。
悪意を持つ者が世界を混沌に陥れようとすれば、誰かがそれから救おうとする。
永遠に交わり、理解しおうとしない善と悪、光と闇が世界に必ず存在するのだから・・・


風が世界を巡る。
多くの者の始まりの場所、メイプルアイランド。
広大な自然の中にある豊かさを忘れないビクトリア。
巨大な大陸にして、数多くの町があるオシリア大陸。
シグナス女王の治める浮遊する大陸エレヴ。
英雄アランが復活したリエン。
そんな世界を浮遊石を使った船が巡り、発展し続けてきたメイプルワールド。
いくつのも文明や技術が交錯し、互いの利点を活かし発展し続ける世界。
モンスターと呼ばれる多くの存在が居ながらも数多の冒険者、騎士団、そして英雄のおかげで秩序と平和は維持されていた。
この平和はかつて英雄が暗黒の魔法使いを封印してくれたおかげであるのは、多くの人間が知っていた。
だが、その事実もシグナス騎士団の再来とアランの復活がなければ忘れ去られてしまう、そんな御伽話のような弱いモノだったのだ。
そう・・・
封印されたということを忘れてはいけなかったのだ。


一時であれその事実を忘れていたのはミスだったのか、必然だったのか、それとも運命・・・
『類は友を呼ぶ』とは良く言ったものである。
悪は悪を呼び、暗黒の魔法使いは封印されながらも多くの配下を作っていたのである。
そして、自分の復活する機会を虎視眈々と狙い配下の者を動かし続けていた。


世界崩壊の序曲が開始された・・・
大陸に亀裂が走る。
ビクトリアアイランドは中央ダンジョン付近を中心とし、崩壊していく。
その亀裂の中から溢れ出てくる禍々しいオーラは、静かに暮らしていた穏和なモンスター達を次々と凶暴にして獰猛にへと変えていく。
そして、その力も以前と比べ物にならないモノへと・・・
人々は逃げ惑い、多くの冒険者は自分の無力さに打ちのめされていた。
立ち向かい続けたのは一部の覇王、魔王、賢王、冥王、海王、英雄達だった。
それらの活躍であっても食い止めるのは精一杯であり、全てを護りきれなかったのだ。
そして騎士団は力不足のため、人々を救うためだけに奔走し続けた。


「キリがないぞ! このままではこの戦線も維持できなくなる・・・」
蒼い巨剣『グリュンヒル』を振るう男の剣士は敵の集団を押し返しては両断していく。
巨大な剣の斬撃『ブランディッシュ』は多くのモンスターを飲み込むが、全てではない。
だが、集められたモンスターは氷の巨大な刃に切り刻まれていく。
青く澄んだ髪と双眸の女の魔法使いが剣士を援護するために放った魔法『ブリザード』である。
「ロキアルド! 私達が退いては・・・」
「だが、シュウレイ! 君になにかあっては意味がないんだ!」
互いの背中を向け合い闘う2人の息は合っており、2人だけでエリニアに攻め込んでくるモンスターを防いでいた。
ここからは浮遊石の船が出ている。
崩壊していくこのビクトリアから脱出するために多くの人間が集まっていた。
だが、ビクトリアだけが危険というわけじゃない。
オリシア大陸も危ないかもしれないが、オルビスでは5賢者に5長老が緊急招集されていたのだ。
必然的にそれは人々に、オルビスは安全だと思わせたのだ。
エレヴ行きの船は既になく、カニングシティのペリカンは既に逃げている。
混沌の影響かアーシア共々ジパングは存在しなくなっていた。
逃げる場所を求めた人は必然的にエリニアに集まったのだ。
「地球防衛基地は既に救助活動を止めバリアを貼って受け入れ拒否してるとか・・・」
「錬金術師共は自分達だけが助ければと、あの2大協会はマガディアへの陸路を封鎖したらしい」
「リプレでは凶暴になったモンスター達が暴れて、収集が着かないらしい」
「エルナスではジャクムが火山を噴火させた」
不安な情報だけが錯綜していった。
船は定員オーバーしながらも出航していく。
シャンクス達船乗りにも疲れが見える。
「これが最期の便だ! 早く乗り込んでくれ!!」
前線までシャンクスが叫び声をあげる。
それを聞いたロキアルドとシュウレイは笑顔で答えた。
「気にするな! 行ってくれ!」
「このままじゃ押し切られて船ごとやられます! 行ってください!」
そう行って2人はモンスターの集団の中へ飛び込んで行った。
集団の中にはビクトリアには存在しないはずの凶悪なモンスターも大量に居たのだ。
だが、それでも勇ましく立ち向かっていく2人の姿に何も出来ないシャンクスは自責の念を抱いた。
「すまん・・・」
シャンクスは言うと待たせている船へと向かう、それとすれ違うように無数の人影がロキアルドとシュウレイの元へと向かった。
漆黒の闇のような影が3つ首のドラゴンのアギトごとくモンスターを喰らうように放たれる3連続の突きである『バスター』。
青き影は『クレイモア』と『パルチザン』を両手で持ち突進するスキル『ラッシュ』でモンスターの群れを吹き飛ばす。
投げる手裏剣より早く、光のように飛交う影が瞬時にモンスターを倒していく碧いナイトロード。
「シェナロダ・・・マルゴー、あぁさぁ・・・」
突然の出現に驚きと喜びを隠せないロキアルドとシュウレイ。
「付き合おう、ロキアルド」
そう言いながら2つの武器と多彩のスキルを使いこなす青き戦士『マルゴー』は戦士とは思えないほどの殲滅力を見せつけ、雑魚を消し去っていく。
「まったく2人して何してんの?」
こんな状況でも優しさを忘れていない『あぁさぁ』の手裏剣は1つ放つ度に、いくつものモンスターを倒していく。
「ロキアルドさんとシュウレイさんだけが格好つけないでください」
漆黒の鎧に黒槍を使い、戦線を押し返していく『シェナロダ』にモンスターは戦慄した。
ロキアルドとシュウレイを仲間が助けに来てくれたのだ。
そしてこの3人も覇王であり冥王であった。
「船が出た後の脱出の手段がない。それでも良いのならお手伝いを頼もうか!」
そう言いながらロキアルドがグリュンヒルで押し返された戦線を更に返そうと、斬り込んでいく。
そして4人もそれに続いた。


世界にいる長老、賢者は一同に会していた。
ビクトリアにいる5賢者にエルナスの官邸の5長老がオルビスのギルド本部を貸しきっての会議を開始しようとしていたが、円卓に並ぶのは9人であり、カイリンだけは召集をかける前に行方不明となっていたのだ。
そんな彼女の身を一番に案じているであろう、弓使い学院の長であるヘレナが気丈にも進行役を買って出たのである。
エルフの特徴といえる長い耳に金色の長い髪に淡い碧色をした双眸が円卓の中心に向けられ、彼女は始まりの言葉、すなわち議題を口にした。
議題は・・・
「力の解放についてどうするか・・・」
大きなフロアに静かに響くその言葉は重みを感じさせる。
「我々はスキルブックを全て解読しきっていたわけではなく、制限をかけ秩序と安寧のために最低限の仕様に留めていたことはみなさんもご存知のことでしょう。私達はかつて暗黒の魔法使いに攻められた時以上の窮地にあり、これに対抗すべき制限の解除をどうするかの話をするために集まった次第です」
円卓にいる人間は各々思うことがあるのか、しばらくの沈黙と緊張が続いた。
白い服に身を纏う老練された魔法使い、エリニアのハインズが立ち上がった。
「早急に制限を解き、全ての者に力を与えて対抗すべきだ。世界が破滅の危機にあり今も苦しんでいる人々がいる。一刻の猶予もないのは分かっているだろう?」
年齢を感じさせない勢いでハインズは説得をするように話をする。
「話し合う必要はないと・・・」
そんな話の途中にエルナスの長老が1人アレクが発言した。
「いえ、話し合う余地は十分にあります。少なからず私にはありますよ。ハインズ殿」
アレクはテーブルに肘を着き手を組みながら話を続ける。
「盗賊の力は十分ありますし、多くの冥王もいます。闇雲に混乱した状況で使用したことのない力の解放など・・・状況を悪化させるだけです。戦力を1箇所に集め、暗黒の魔術師の所在を掴み反撃にでれば問題ありますまい?」
「その通りだ!」
会議とは思えないほどの叫び声にも近い声を荒げながら同意したのはペリオンの戦士の長である『拳を開いて立て』であった。
「我ら戦士の覇王も各地で活躍し、戦線の維持をしてると報告を受けている。今のままで十分だ!」
その勇ましい発言は沈黙は生んだが、漆黒の忍び装束を纏ったダークロードがマスクをずらしながら言う。
「だが、現状は苦戦している。戦線を維持してくれていたのはトップクラスの人間だけだ。そんな人間は数えるほどしかいないわけだろ? ここは力を解放し、全員で挑むべき問題だ。本当は私らだけで決めて良いという問題ではないんだぞ?」
冷静な顔をしたアレクが答える。
「苦戦はしてます。でも打開できる状況ですしね。それに我々は管理を任させている立場の人間です。慎重に審議をしなければならないのですよ。また誤った裁量をすればバランスが容易に崩れてしまいますよ? それに過ぎた力が人を狂わせることになるのは貴方自身も分かってるでしょう?」
ダークロード自体も分かっていた。
盗賊は多くの愚か者を輩出したのだ。
過ぎた力は人を容易に陥れていく・・・
この解放を一番危惧もしていたのもダークロードなのだ。
「だが、得た力で全ての人間が堕ちるわけじゃない。多くを救うためには早急に決断すべき時なんだ・・・」
ダークロードが全て言い終わる前に、巨大な手が襲いかかる。
「ダークロード!!」
ヘレナの叫び声が響くなか、反転し敵を視認したダークロード。
窓と壁を突き破り現れた巨大な手はダークロード共々床を砕き割った。
「まずは1人・・・」
一撃で5賢者の1人を仕留めた巨大な手の主は、壁を更に粉砕し部屋の中へと入ってきた。
それは以前、英雄アランが撃退したと報告があった『巨人ダゴス』、暗黒の魔法使いの部下の1人であった。
「おのれ!!」
仲間をやられた全員はすぐに武器を構えていく。
そして真っ先に攻撃をしたのが『拳を開いて立て』であった。
巨大な斧を軽々を持ちながら、敵に突進し斬撃を放った。
だが、巨大な腕に跳ね返されてしまい、呆気に取られた瞬間にその腕により吹き飛ばされ無様に壁へ激突する。
その一撃で『拳を開いて立て』を戦闘不能にするには十分であった。
ヘレナとハインズはすぐに巨人ダゴスより間合いを取り遠距離から魔法と矢による攻撃を開始する。
だが、それらも効果がない。
「これで終いか?」
攻撃によって舞った砂埃が晴れて露(あらわ)になり、巨大な体から放たれる力は、暗黒の魔法使いの部下であることをを証明するかのようである。
次の瞬間、その巨体に似つかわしくないスピードでヘレナへと接近した。
巨大な顔にある閉じていた目が開き紅の眼光をヘレナに向けられ、ヘレナは覚悟した瞬間であった。
巨大な炎が巨人ダゴスだけを飲み込んだ。
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
断末魔に近い咆哮が終えた瞬間、みんなは炎が放たれた先を見る。
そこには紅の派手な服とマントを纏った、若い魔法使いと巨大な竜がいた。
「エヴァン!」
驚きと歓喜が混じった声でヘレナが言う。
「ありがとう。よくやってくれたね。」
竜の顎を撫でながら御礼をいうエヴァン。
「それにしても間一髪でしたね。みなさん無事で何よりです」
その視線の先には回避スキル『フェイク』を発動させ、無事であったナイトロードがいた。
そして、『拳を開いて立て』にはタイラスによりパワーエリクサーを施されていた。
「エヴァン・・・成長したな」
ハインズは呟いた後、竦んでいるアレクのほうを見て言う。
「この通り、従来の力ではどうしようもない所まで来ているぞ?」
ハインズに呼応したようにダークロードも続く。
「ああ、エヴァンが来てくれてなかったらどうなってか分からんぞ」
「あ、ああ・・・」
アレクは渋い表情でそれに同意した。
その刹那にギルド本部の扉が突き破られて巨大な音が響き渡る。
「こいつだけじゃなかったのか!?」
全員は再び戦闘態勢になり、となりの本部フロアへと向かう。
そこには禍々しさを増した悪霊・悪魔系列のモンスターが溢れていた。
だが、一筋の光が走る。
金色の光が放たれ、周囲のモンスターは光の剣により滅されていく。
シグナス騎士団のソウルマスター騎士団長『ミハイル』の『ソウルドライバー』だった。
ミハイルの活躍により、一掃された後、シグナスの女王の遣いとしてエレヴの宰相『ナインハート』が現れたのだ。
「良く来てくださいました」
ヘレナはすぐにナインハートに駆け寄った。
「いえ、遅くなり申し訳ありません・・・ミハイル、引き続き周辺の警備を」
「ハッ!」
ミハイルはすぐに外に出て周辺の警備を開始した。
「全てはミハイル殿が?」
ヘレナは彼の力を直に見て驚き、ナインハートに確認した。
「いえ、彼だけではありません。外のモンスターの大半はアラン殿に・・・」
ナインハートに遅れて、褐色の肌に短髪の男と透き通るような白い肌に空色の髪の少女が続いてきた。
「みなさんご無事でなによりです」
少女はそう言いながらアランと共にヘレナに近寄る。
「アラン! 話には聞いていましたが無事でなによりです。リリンも良く無事でいてくれました」
ヘレナはアランの両手を掴み、旧友の無事を心底喜んだ。
その隣でリリンは優しく微笑んでいた。
「感動の再会も良いのだが、時間が惜しいだろ?」
そう言いながら現れたのは、長い紫の髪を靡かせながら双剣を構えた女盗賊デュアルブレイドの『ファルセニア』だ。
「デュアルブレイドのファルセニアか!?」
ダークロードが驚きながら確認し、ファルセニアは黙って頷いた。
ファルセニアは全員を見下ろすように瓦礫の上に上がり叫ぶ様に言う。
「何を悠長な事を言ってるのか!? 封じることしか出来なかった相手が今の我々で倒せるわけがない!」
言い放つと同時にファルセニアは紫のドラゴンブレイドの峰でアレクのフードを引っ掛け、挑発をするように振舞った。
「全く威勢がいいな」
そう言いながら海賊のリーダーにしてノーチラスの船長であるカイリンが現れた。
「遅くなったようですまないな。何分忙しくてな」
そう言いながら拳に立てた親指で自分の背後を指す。
そこにはロキアルドを始め、シュウレイ、マルゴー、シェナロダ、あぁさぁなど各地で殿や戦線維持をしていた猛者達の姿があった。
各地の残った戦力の回収・および救出をノーチラス号だけで最後まで行っていたのだ。
カイリンはすぐさま、アレクに近寄りながら言う。
「ガダガタ言ってないで、さっさとやるべきことをするんだね。じゃないとアタシ達がやられて終わりだ。親父はそれを教えてくれていたのに、お前らは何をしてたんだ!」
今にも『スーパートランスフォーム』するのではないかというほどの剣幕でカイリンは叫んだ。
「だ、だが・・・」
アレクはそれでも反対の意思を変えようとはしない。
「貴方が危惧してる事は分かる・・・」
2人の会話にロキアルドが入る。
「必ず力に溺れて、暗黒の魔法使いみたいな堕ちた人間も出てくる・・・」
悲しみと怒りが混じった表情で、アレクを見詰めるロキアルドは続ける。
「でも、それでも本当こんな最悪の事態でも自分を省みないで必死になって戦う勇者だっている!全てが愚か者なんかじゃない! 少しでいい・・・私達みたいな奴に賭けてくれないか!? こんな状況でも・・・世界でも希望があるってことを見せてやるわけにはいかないのか!?」
必死に叫ぶロキアルドは疲労もあるのか、叫び終えるとそのまま倒れかける。
すぐさまシュウレイが寄り添い支えた。
「やれやれ・・・ここまで言われても制限解除しないのか? アレクぅ~」
カイリンは手でアレクを指すように腕を伸ばし、あたかも標的を狙うような仕草で言った。
「くっ・・・分かった。反対する理由がなくなった・・・」
アレクがそう言い終わるとヘレナが言う。
「では10人揃いました。満場一致で制限を解除し、力を解放するということでよろしいですか?」
5賢者・5長老全員黙って頷いた。
「では早々に儀式の準備を・・・」
ハインズはそそくさと準備に向かう。
「ありがとう。ロキアルド・・・貴方たちのような勇気ある冒険者のおかげで世界を救える」
ヘレナは手を差し出し、それに答えるようにロキアルドも手をとり握手で答えた。



儀式も無事に終えた。
儀式中にあった襲撃もアランとエヴァンを始め多くの勇者が撃退していたのである。
儀式が終えた瞬間にメイプルヒーローの女神が現れて世界に光を降らした。
その光は人々の力と、その力を使いこなすための勇気を与えた。
「さあ、行こう! 反撃開始だ!!」
1人が立ち上がれば全員が立ち上がっていく。
多くの冒険者が、暗黒の魔法使いを倒すべくために・・・
メイプルワールドを救うために・・・
新たな力と仲間と共に・・・
今また新しい冒険の1ページが開かれていく・・・

テーマ:メイプルストーリー - ジャンル:オンラインゲーム

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■■■2009年文化祭出品作品【女神に捧げる約束の鎮魂歌】
2010/10/28 Thu外伝小説etc
1年前の文化際に出展しようとしていましたが、一部許可が正式に下りず非公開のままとなっていました。
コメントにて連絡し許可されないという返信もなく、それにより問題がないということではないと勝手ながら判断した次第であり公開させていただきます。


財前ゴウさんの所で紹介されていた、魂の約束(ロンド)に感動して書かせて頂いた小説になります。
心に響き、感動した歌に自分の拙い小説を添えるような形になっています。
ネットゲームとはいえ、画面の向こうには同じ人がいます。
相手はどんな人か分からないでしょうが、人がいます。
最近では、マナーやモラルが残念に思えるプレイヤーさんが実際にいます。
今一度自分の言動を考えていただける事に繋がれば嬉しく思っています。

下記はこの話を作るきっかけを与えてくださった財前さんのサイト・ブログです。
財前ゴウのメイプル総回診2
http://ninehalt.blog4.fc2.com/
関連記事:魂の約束(ロンド)
http://ninehalt.blog4.fc2.com/blog-category-31.html
財前ゴウのメイプル総回診
http://zaizen.aki.gs/

Pacoさんのブログ
Wheel of Fortune 音のコトノハ
http://d.hatena.ne.jp/Paco/
楽曲歌詞の使用許可は申請したのですが、許可されておらず使用してはいけないという指摘がないので使用させていただいてる状態です。
もし問題があるようでしたらお手数ですが連絡お願いします。



また、誤字などの修正を手伝ってくれた、橙夏(もつけ)・まかさん・轟・マーチン・シュウレイありがとうございました。



◎登場人物
イメージではこんなキャラクターが出ますっていうことで見ていただければ幸いです。
ユスティーユandルティディア2
ユスティーユ&ルティディア

ロキアルドAndシュウレイ2
ロキアルド&シュウレイ

轟転魚2
轟転魚

ギルドの仲間達2
ロキアルドがマスターをしているギルドの仲間達
左から
ティス 猫石 もつけ うらだま 舞踏媛

アラゾメと鬼胡桃2
桃花染(アラゾメ)&鬼胡桃
尚登場する人物は架空の人物でです。

では続きから本編となります。
女神に捧げる約束の鎮魂歌


「いつの日か、どちらかの魂が優しい大海へ抱かれるその時まで・・・」
私は海に沈む夕日を見ながら、親友のルティディアの前でふっと浮かんだ言葉をそう口にした。
「素敵なフレーズね・・・歌にするのもいいかも」
ルティディアはピンク色ストレートの長髪を風に靡かせながらそう言った。
「じゃあさ、私が『あの力』を習得したときにはこのフレーズを使って是非歌ってやってよ」
「分かった。考えておくね」
「楽しみだな・・・頑張らないとね」
私の茶色のウェーブの長髪もまた、風に遊ばれて流されるように靡く。
私の名前はユスティーユ、ヒーローを目指す1人の女ナイト。
この物語の主人公である・・・


「貴女のようなナイトには片手剣をお勧めするよ。盾はそうだね・・・防御力も大事だけど、そこそこの強化が施されている、この神具をお勧めするね。なんたって普通じゃ製造できないメイプルシールド! おまけに攻撃に特化してる特殊仕様だぜ」
商人が私にフリーマーケットで武具を勧めてくれる。
この商人もまた、戦士のようでお古の装備を安く売ってくれるとのことで手ごろな品が手に入るかと期待していた。
「で、おいくらほどなんですか?」
「おう! これほどの強化品ではあるが・・・お嬢さんには特別サービス! ファルシオンは500m(5億メル)でどうだ! 盾は1G(10億メル)だ! これだけの強化品そうそうないぜ!」
私とルティディアは高額なアイテムに驚き、お互い目を点にしてみつめってしまった。
「と、とてもじゃないけど・・・全財産集めてもファルシオンすら買えないですよ・・・」
驚きながらも断ろうと口を開く、途端に店主の態度は豹変した。
「なんだ! なんだ!? こっちは丁寧に説明までしてやったんだぞ! ナイト成り立て風情が偉そうな物言いだな!!」
店主に怒鳴られ、それに萎縮し、更にフリーマーケットの利用者の視線に晒されてパニックになりそうになった時だった。
「偉そうな物言いはどっちですか?」
冷たくも鋭い声が静かながらも響き、私達と周りの人の視線は全てそっちに向いた。
青色のラデアの髪型に空色の透き通った瞳の綺麗な女性が1人・・・装備からアークメイジだと分かった。
武器を持ちながら両腕を組み、明らかに店主を威圧しようと近づいてくる。
しかしながら、店主は怯みもせずそのアークメイジに近づいていく。
手には先ほど私に売ろうとした剣を握っている。
「あ、危ないですよ」
精一杯の声を出した、アークメイジの女性にも伝わったと思うけど、彼女は怯まずに仁王立ちをしている。
「魔法使いが知ったかでモノを言うな!! 相場も分かっていねえクズは黙ってろ! 切り刻んでやろうか! てめえの面をな!」
店主はそう言いながら、女性との距離を一気に詰めようと駆け寄っていく。
「そんな事をしてみろ・・・いや、させることはないがな・・・」
アークメイジの女性の後ろから巨剣を構えた1人の男性が現れ、店主へと一瞬で間合いを詰めた。
次の瞬間、店主は鞘に収まったまま剣で切り上げられ、その一撃で気絶し無様に倒れた。
「ロキアルド・・・手助けは不要だったぞ」
男性は装備から、戦士であることは一目瞭然である。
蒼いプリンスという髪型に、鋭い蒼色の瞳、メガネをかけ、左頬には紅の刀傷があり、怖そうに見える。
「だろうな・・・こんな一撃で倒れちまう程度の戦士じゃな・・・ それにシュウレイだけじゃなく、私だって、こんなやつに偉そうに戦士のことを語って欲しくはないしな」
アークメイジの女性はシュウレイという名前らしい。
この2人は強いってことは私でも分かったし、この2人は既に『あの力』を取得している人というのも分かった。
「私達のせいで、ちょっとした騒動にしちゃいましたね。失礼しました。私の名前はシュウレイ。そしてこのゴツイのがロキアルドといいます」
「なんだよ! そのゴツイっていう説明は・・・ 何かお困りなら私達で良かったら手を貸しましょうか?」



騒ぎは落ち着いたようだが、人が多い場所から離れひと気のないフリマの1室にみんなで移動した。
「なるほど、ナイトになったばかりで装備を新調しようとしてたのか・・・弟子に貸していた武具があるからそれを良かったら貸しますよ」
ロキアルドさんとシュウレイさんは私達の話しを聞いては色々と配慮してくれた。
私とルティディアは、小さな辺境の村に住んでいたけど、凶暴なモンスターの群れに襲われて村は崩壊してしまったこと。生き残った数名でなんとかビクトリアまで逃げ延びたけど、散り散りになってしまい、今日まで2人で頑張って生きてきたこと・・・
今までの修練が功をそうして、昨日3次職のナイトになれたことを彼らに話した。
「それはすごいな。私もナイトになるまでも大変苦労しましたよ。もしよかったら、修行のほう私達も手伝いましょうか? そして気が向いたら、うちのギルドに所属してもらっても構いませんしね」
ロキアルドさんの申し出は有難かったけど、今までずっと2人だけでやってきた私達は戸惑いギルドに所属することは躊躇し、またの機会にとその返答とした。
「先のように残念ながら、力と知識を悪用する愚者も多くいる・・・十分に気をつけて」
シュウレイさんも残念そうであったが、手持ちの不要になった武具をルティディアに渡し、ロキアルドさんは、また再会できた時に今使っていない武具を私に貸してくれると言ってくれて約束してくれた。
そして2人は人が混み合うフリーマーケットの中へと姿を消していく。
私達にとって、この出会いがとても大事な意味があることを理解するのは、しばらくして分かることでした。


私とルティディアは職業的な相性も大変いい。
剣となる私と、盾となるルティディアのコンビは申し分ない。
私がダメージを受けてもすぐさま回復させてくれるルティディアのサポートで、私も少しずつであるが確実にヒーローへと近づいていた。
自分達のペースで、本当に大丈夫なのか・・・
不安もあるがルティディアにあまり負担もかけたくはなかった。
彼女はいつも自分のことより私のことを気遣ってくれる。
「ユスティ、あんまり無理しないでね・・・」
「あ、ありがとう・・・悪いけど今日はここまでかな・・・」
マガディアで暴走する機械型モンスター「ネオヒュロイド」を相手に修練をしていた。
人型であるモノを斬るということに少々の抵抗があったが、ここでの修練は身につきやすかった。
「あ、危ない!」
倒したつもりであった、ネオヒュロイドの残骸から撃ちだされた小型ミサイルに気づくのが遅れた。
もう少しで直撃というとこで、巨大な丸い影が現れてミサイルを切り落とし私は助かった。
「あ、ありがとうございます・・・」
奇襲と援護に驚き呆気に取られた私は、オドオドしながらお礼を言った。
「流石だな、轟。いい状況判断だった・・・」
「ありがとうございます。師匠」
巨大な丸い影の正体はアフロの頭の戦士で、その後ろにはあの巨大な剣「グリュンヒル」を構えたロキアルドさんの姿があった。
「縁があるようですね。久しぶり。2人とも」
「え? 師匠のお知り合いだったんですか?」
このアフロの戦士もロキアルドさんの関係者なのだろう。
「ああ、フリマでこないだ出会った2人だ。1人は轟と同じ頃にナイトなった剣士の人だ」
「そうなんですか!? 私が轟転魚(ごうてんぎょ)、通称「轟」です。よろしくお願いしますね」
屈託のない笑顔とはこういう笑顔なんだろうなと思わせてくれる表情で、轟さんは私達に挨拶してくれた。
「轟は私の弟子の1人でね。3次職のナイトなんだ。ユスティーユさんと同じってことだ。私達はしばらくはこの辺りで修行するから機会があれば・・・」
ロキアルドさんが話をしている途中に、轟さんが閃いたと言わんばかりの顔で言いだす。
「機会があればなんて、折角ですし是非ご一緒しましょう! そして、良かったら友達になりましょう!」
そういいながら、轟さんは私とルティディアの手を取り手を重ね合うように握手した。
私もルティディアも悪い気はせず、ビクトリアでの初めての友達ができ凄く嬉しかった。
「ロキアの修行を1人で受けるのは大変です。仲間がいれば少しは気楽になります」
冗談掛かった言い方で、舌を出してふざけながらいうと、ロキアルドさんのゲンコツが轟さんのアフロの中へと消えて、ゴンッと音がした。
「あう~・・・」
「あう~じゃない。折角の才能だ! 鍛えないでどうする! まあ、今日は遅いしまた明日にしよう。
シュウレイがご飯を作ってくれているはずだ。轟のいうとおり折角だし、お二人も是非来てください」
ロキアルドさんと轟さんの招待を受け、素敵な一夜を過ごすことになった。



「ロキアルドは別室で休むから安心してね」
シュウレイさんと轟さんを含み4人で1つの部屋に雑魚寝する形になっている。
マガディアの空き小屋の1つを借りて3人で来ていたそうで、食事のあとはこのままここで就寝することになった。
「シュウレイさんがそんなこと言っちゃっていいんですか・・・」
「ロキアルドとはいえ、男だ。安心するためには隔離するんだよ。轟さん」
本音か冗談か分かりにくい言い方で言うシュウレイさんが可笑しかった。
食事の時の話にでてきたが、ロキアルドさんとシュウレイさんは夫婦のようで正直、素敵な旦那さんがいることを羨ましくも思う。
「頼りになる素敵な旦那さんじゃないですか? うらやましいですよ。シュウレイさん」
「ユスティーユさんにだって、素敵な人が絶対見つかりますよ」
轟さんは明るくそういいながら私の手を握る。
私の不安が轟さんには見えたのかも知れない。
それを心配しての行動だったかもしれないが、嬉しかった。
「轟さんの手は本当に暖かいね・・・」
今まではルティディア以外と触れ合うこともなく、久しぶりに人の優しさと温かさを実感した。
「えへへ、そうですかね」
恥ずかしそうに轟さんが笑い、それを見てみんなと和んだ。
「では早く寝ちゃいましょう。明日も修行ですよ」
疲れきっているルティディアがそういうと、シュウレイさんが部屋の明かりであるランプを魔法の応用で消し、部屋は闇に閉ざされる。
久しぶりに心地良い眠りに私はついた。


シュウレイさんは部屋で錬金術の研究などのために小屋に残り、4人だけでマガディアのアンダーグランドのモンスター狩りを始める。
サイティとホムンクルーという霊体となるアンデッド型のモンスターで、ロキアルドさんは時折、モンスターマグネットを使ってモンスターを轟さんや私の前に引っ張ってくる。
お化けの群れが一気に迫ってくるのは正直怖かった。
怯える私と違って、ルティディアは華麗な動きでサポートをしてくれる。
「ルティディアさんはプリーストになったばかりとは思えませんね・・・」
「私は半年ほど前になりました」
「そう! ルティディアは努力家でね! おかげでいつも私は助けられてるですよ」
ルティディアは私が休んでいるときも、時間に余裕があれば1人だけでも修行をしている。
それは私を万全な体勢でサポートしようとしてくれている。
だから、そんなルティディアがロキアルドさんに褒められてすごく嬉しく興奮しながら言ってしまった。
自分が思ってる以上にルティディアに感謝しているのかな。
「ユスティーユさんだって、もう2,3ヶ月になるのかな。いい動きしてますよ」
「すごいですね。私はなかなか・・・いつもロキアに指摘されちゃいます」
不意に私も褒められて、嬉しいけど自分のこととなれば恥ずかしくも思えた。
「もっと、もっと頑張ります!」
そう言って前に出た私の横には轟さんも並んでくれている。
仲間がいっぱいいるってことは素敵だ。
いつも以上に頑張れる気がする。
そして、1匹のモンスターを倒したと思ったそのとき、視界が途切れ私は闇の中へと沈んでいった。


気がつけば、そこは昨晩みんなと寝た部屋である。
急ごしらえでベッドを作ってくれたようで私はその上で寝ているた。
そして、右手に感じる暖かさはルティディアのヒールとその優しさ。
「また、倒れちゃったんだね・・・ごめんね・・・」
「ううん、気にしないで・・・あとでみんなにお礼言わないとね。素敵なベッドでしょ?」
ルティディアはいつも私を献身的に支えてくれ、私が倒れることにはもう慣れている。
だから、いつもいつも負担をかけてしまっている・・・
いつかお返しできるように頑張らないとと考えてしまう。
部屋にノックが響き、ルティディアがどうぞというとシュウレイさんと轟さんが入ってくる。
「声がしたので気づいたのだと・・・ロキアルドは今、優秀な医者を呼びにオルビスまで行ってるから・・・」
轟さんは、食事を作っていてくれたようでスープとパンとミルクを持ってきてくれた。
「医者ですか・・・ありがとうございます・・・ではロキアルドさんが戻ってきたらお話したいことがあります・・・」
私は、体の痛みと心の痛みを感じながらロキアルドさんが戻るのを待った。
不安だった。
本当の事を話しても、この人達が今まで通り私に接してくれるか・・・
しばらくして来た医者は私の身体を検査したが、原因は分からず処置の方法すら検討もつかず途方にくれているようであった。
医者は困りながらも、また何かが分かればすぐ連絡すると言ってオルビスへと戻って行った。
たぶん、あの医者も何も分からないだろう・・・残念ながら医者の力ではどうしようも出来ないことを私は知っている。
沈黙が続き、重い空気を感じたが私は思い切って話をすることを決めた。
「私は・・・もうすぐ死ぬかもしれないのです。1年ほど前に体の異様な不調を心配に思い、いくつかの病院や有名な魔法使いの元を訪ねました。そして、オルビスのスピネルさんのとこに行った時にその原因が分かりました。心無い何者かが、私に呪いをかけていると言うことが・・・」
重い空気が更に重くなることを実感した。
さっきの医者の言動からでも普通ではないことが、みんなにも理解されているのだろう、驚いてはいるようだけど冷静に受け止められている。
「でも! でも絶対死ぬわけではないのです!」
大人しいルティディアが大きな声で叫ぶように言った。
「希望はあるんです! あの力・・・リプレの神秘の力である4次職、そしてそのスキルであるメイプルヒーローとヒーローインテンションがあれば治るかもしれないのです!」
ルティディアの必死の訴えをみんなは真剣に聞いていた。
「なるほど・・・能力全てを向上させるメイプルヒーローに、特殊な状態異常を解除するヒーローインテンション・・・確かに可能性はあるね」
シュウレイさんが納得し、ロキアルドさんと轟さんも頷いた。
「時間的にも余裕はあるのか? その症状か呪いの進行具合からでも分かればいいんだが・・・」
正直私も分からない、余裕があるとは思えず答えることに考えているとルティディアが口を開く。
「余裕はないですね・・・できるだけ急がないといけないはずです・・・」
それを聞いたロキアルドさんとシュウレイさんは少し考えたあと、口を開く。
もう面倒を見切れない・・・
悪いけどこれ以上は一緒に行動できない・・・
嫌な言葉ばかり頭を過ぎる。
しかし、思ってもいない言葉を聞くこととになった。
「分かった・・・少しばかり厳しい状況になるかもだが、リプレにいこう。あそこでの修練が一番早いだろう。轟、先行してリプレの家を1つ借りてきてくれ」
ロキアルドさんはそういうと、轟さんに大量のメルを渡し、先を急がせた。
「わかりました! 先に行って待ってますね」
轟さんは牛乳を飲んで、ジパングへと飛んでいった。
「では移動の準備に取りかかろう。重い荷物は全部ロキアルドに渡して」
シュウレイさんはそう言いながら、荷物の整理を始めた。
「はいよ。ユスティーユはそのままでいいよ。体が落ち着いたら移動しよう。ルティディアはユスティーユを看ててやって」
ロキアルドさんも準備のためか、そう言うをすぐに部屋を出て行った。
もうすぐ死ぬかもしれない私のために彼らは動いてくれる。
それも原因不明の呪いということを知って尚、私のために動こうとしてくれる人がいる。
嬉しくて涙が出てしまった。
「良い人達に会えたね・・・きっと大丈夫だよ。頑張ろうね」
励ましてくれるルティディアの目からも涙が零れていた。


私達がリプレで修練を初めて1ヶ月が経過した。
私も轟さんも、もう少しでヒーローへの昇格試験を受けれるだけの力を手に入れた。
武具も立派な鎧と両手剣のクレイモアを使っている。
轟さんは、鎧はロキアルドさんが作った特製品に、青い刃の青雲剣を使っている。
「よし、では今からリプレの奥地にいる『スケルゴサウルス』と『マスタースケルゴサウルス』の2種類、通称『骨』を相手にしよう。かなり強いモンスターだ。戦士とはいえ、あいつらの直接攻撃を2回連続も受ければ危ないぞ。ヒールによる浄化も可能ではあるが、タフだから危ない。私とシュウレイがフォローに回るとはいえ、油断しないでくれ」
ロキアルドさんの説明を受け、私達は『骨』に向かった。
骨はスキルを発動し、能力を高めると口から魔法のビームを撃ち出してくる。
ロキアルドさんがグリュンヒルを駆使し、ビームを受け止めて盾代わりになってくれたり、ビームを放つ直前にラッシュというスキルで骨をまとめて押し返し、場合によってはパニックで骨を両断し倒してくれたりと付きっきりで援護してくれた。
轟さんと2人でロキアルドさんの動きを見て、それを参考にできるだけ頑張ってみた。
骨はリプレで死んでいったモンスターの怨霊とも言われているだけあって、地中からどんどん沸いて出てくる。
処理に困ればシュウレイさんがインフィニティというマナの量を一時無限に近づけ、ブリザードという氷の刃を無数に召喚し骨達を串刺しにしていく。
確かに大変な相手だけあって、修行の効果は抜群であり、もう少しで目標の試験を受けれるとこまでに近づいていた。
そして、この日も無理をしないということで早めに切り上げて、全員で町にもどって私とルティディアは町の片隅でゆっくりと過ごしていた時のことである。
「おい! お前達みたいなクズは死んでしまえばいいんだよ!」
聞こえてきたのは、酷い内容の叫び声であった。
ルティディアが内容が内容だけに、それを注意しに行く。
「命とは軽いモノではないです。そんなこと言うのは止めてください」
その言葉の中には私のことを想ってのことだろう、いつもより強い口調でルティディアは言った。
そこには、1人の魔法使いが、数名のグループに向かって酷い言葉を投げかけている場面であった。
「はぁ!? お前には関係ないだろ! 黙ってろよ雑魚!」
また汚い言葉を今度はルティディアに向かって声を荒げる。
ぱっと見でも分かるほど、レベルの高い武具に纏った魔法使いが、弱い立場への人間を罵倒する光景は恐ろしく思える。
「こいつらは、詐欺師で禁術使って悪いことしてるんだよ! 知らない癖に黙ってろ!」
ルティディアは疑問に思ったのか、すぐに数名のグループ方に確認する。
「本当なんですか?」
「そんなことしたことはないです! そこの魔法使いが勝手に言って来てるんですよ・・・」
ルティディアは確認すると、すぐにそのことをいうが聞く耳を持たないようで、また汚い言葉を叫びだしてくる。
「俺達は逃げますから、アンタ達も逃げたほうがいいぞ。あいつは普通じゃない・・・」
グループの1名が牛乳を取り出すと、それを全員で飲み干しその場から飛んでいく。
矛先を失った魔法使いは、今度は私とルティディアに付き纏い執拗に暴言を吐いてくる。
異変に気づいたロキアルドさんとシュウレイさんが助けに来てくれた。
「大丈夫か!?」
ロキアルドさんはグリュンヒルを構え、威嚇するように私達と魔法使いの間に割って入る。
「また貴様か・・・桃花染(あらぞめ)・・・」
ロキアルドさんが知っている相手であるようで、無論そのアラゾメという魔法使いもロキアルドさんのことを知っているようで、突然異様な笑顔になった。
「なぁ~んだ!!! お前の仲間か!! ってことはこいつらもクズの仲間じゃないか!!」
歓喜しているようにも見受けられ、私は戦慄した。
「シュウレイ!!」
ロキアルドさんの叫び声と同時にシュウレイさんが舞い降りるようにアラゾメの後ろに現れて叫ぶ。
「静寂の煉獄!!」
驚くアラゾメの背後でシュウレイさんの魔法が発動し、シールという呪文によりアラゾメは呪文を唱えれなくなり、スローも掛かって動きが鈍くなったアラゾメにロキアルドさんがグリュンヒルで斬りかかる。
「え!?」
私とルティディアは突然の出来事で、驚き声がでてしまった。
グリュンヒルでの攻撃は刃の腹で殴った峰打ちであったようで、アラゾメはそこに気を失って倒れこむ。
「よし、今の内にショーワまで飛ばすぞ!」
ロキアルドさんは手持ちのフルーツ牛乳を、無理やり飲ませてアラゾメをショーワへと飛ばした。
「すぐに戻ってくるだろう・・・家に戻ろう・・・ここにいるのは危ないよ」
シュウレイさんに言われるまま、私達も帰路に着いた。
ロキアルドさんとシュウレイさんの説明でアラゾメの事が少しは分かった。
普通ではないというのは確かなようで、極めた魔法の力を身勝手な正義で悪用している存在であり、多くの人間が迷惑している存在のようであった。
ロキアルドさんもシュウレイさんも、何度か話し合いによる解決を目指したが、話すら通じず今ではアラゾメに敵意を抱かれて攻撃を受けることも多々あるということであった。
ルティディアが目指す上級職に、あんな人がいることはすごく残念なことである。
「あの人も、昔は普通の良い人だったんだけどね・・・この世界では力を手にしていく過程で変わってしまう人が多すぎる・・・」
シュウレイさんが悲しそうな顔をしながら呟いた。
「でも! ロキアやシュウレイさんのような人もいますから!」
轟さんは立ち上がりながら叫ぶように言った。
「そうだね。全員が力を手にして悪くなるわけじゃないよね」
私も共感し、轟さんと共に声を上げた。
ロキアルドさんとシュウレイさんも私達の言葉を聞いてか笑顔になり、ロキアルドさんは口を開いた。
「・・・明日には恐らく3人とも、4次転職試験が受けれるレベルまでに達するはずだ。あと少しだ頑張ろう。ユスティーユ、体のほうは大丈夫かい?」
「はい。なんとか大丈夫かと思います。だから明日も頑張りましょう」
この時、私は分かっていた。もうギリギリの所に自分が居ることを・・・
しかし、まだ希望はある・・・
だけど、不安も恐れもある・・・
その感情よりも疲労のせいで、私は深い眠りへと落ちていった。



骨狩りは、私とルティディアと轟さんにシュウレイさんでのPTに、ロキアルドさんがフォローに回る形で行われた。
私とルティディアが危険な状態になりそうになれば、ロキアルドさんやシュウレイさんがすぐに助けに来てくれる。
この数日での、私達の成長は急激なモノもあり、自分の力のはずなのに使いこなせていない感じがありました。
特に轟さんは、自分の力に振り回されているようにも見受けられ、隙あらばと言わんばかりにロキアルドさんに指摘されていた。
そして、ルティディアと轟さんに4次転職試験が受けれるレベルになったと、祝福(レベルアップ)の光が注がれた。
眩い光に包まれる2人を見て、もうすぐ自分もという期待を抱きながら、みんなのサポートを受けながら最後の力を振り絞って私は剣を握っていた。
眩い光が天から差し込む、しかし暖かい光ではない・・・
私にすら分かる殺気と狂気を孕んだ、悪意ある攻撃の光であった。
「朝霧の障壁!」
シュウレイさんが咄嗟に私達の前に立ちふさがり、マナリフレクションという魔法を跳ね返すスキルを展開された。
その魔法を持ってしても、全ての攻撃を捌ききれるモノではなく、衝撃波で私達は吹き飛ばされた。
衝撃波を喰らいながら、私達の盾になろうと立ち塞がっていてくれたのはロキアルドさんであった。
「アラゾメか!?」
その光の魔法で攻撃してきたのは、昨日のアラゾメというビショップであった。
「クックック・・・弱いな! 雑魚が!」
ファックサインをしながら、見下し罵倒してくるアラゾメに対して、ロキアルドさんは斬りかかる。
アラゾメへの間合いを一気に縮めようと向かう、ロキアルドさんに無数の影が襲いかかった。
「ちっ! 鬼胡桃まで連れてきたか・・・」
アラゾメの後ろには仲間らしい黒装束のナイトロードが手裏剣を構えいる。
ロキアルドさんは体に刺さった手裏剣数枚をいともしないまま、2人に斬りかかるがヘイストを巧みに使いこなし、攻撃を全て回避していく。
「ここまで・・・ここまで来て!! 私がこいつらを何とかする! ユスティーユとルティディアは、2人だけでずっと絶望の中からでも希望を掴もうと必死にやってきた! こんな世界でも救いと希望はあるって事を見せてやらないでどうする! シュウレイ! 轟!! あとは任せる!!」
ロキアルドさんは叫ぶように言い放ったあと、ブレイブを使い、また2人に突っ込んでいく。
アラゾメはバハムートを召喚し、咆哮と共に放たれた攻撃がロキアルドさんを襲った。
「ここはロキアルドに任せましょう、もう少しのはずです・・・ルティディアさん。ミスティックドアを!」
シュウレイさんの指示で私達はドアをくぐり、リプレへと帰還した。
「逃がすかぁああ!!」
アラゾメの声がドア越しにまで聞こえてきた。
「ロキアなら絶対なんとかしてくれますから。私達は私達にしかできないことを!」
轟さんも、声を荒げて焦りを隠すように私達に激を飛ばしてくれた。
シュウレイさんの案内で、リザードマンの巣窟である龍の墓へといき、そこで最後の仕上げをすることになった。
「あ・・・」
私が小さくつぶやくと同時に、祝福の光が体を照らした。
「おめでとう・・・ユスティーユ・・・」
ずっと私を支えてくれた、涙を流しながら、抱きついてきたルティディアにとっても長い道のりだったはずなのだ。
私より、大変に感じて、不安にも思っていたって不思議ではないのだから。
「おめでとう。ユスティーユさん」
そんな、私達を優しく見つめ、祝福してくれるシュウレイさんと轟さんもいる。
「では急いでエルナスに・・・このテレポストーンを使いましょう」
シュウレイさんの手には、不思議に光を放つ青い石があり、それを私達にもと1個ずつ配ってくれた。
そこに、激しい轟音と共にまたアラゾメが現れる。
「てめえらも死ねええええええええ!」
アラゾメの装備はボロボロの状態であり、激しい闘いのあとであることは分かる。
「轟さん! 2人を連れてエルナスに!!」
石を全て轟さんに託し、シュウレイさんの体は青白く光を放った。
「天を破る蒼き月!! 破天蒼月!」
シュウレイさんは白虎を構え、呪文を唱えた。
アラゾメが放つ光すべてを、天より降注いだ氷の剱が遮断した。
「まだだっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
その声と同時にグリュンヒルを振り下ろしアラゾメを斬りかかろうとするロキアルドさんが現れた。
鎧は破損し、マントはボロボロになりながらも、私達のために闘ってくれていたのだろう。
その姿を見て、私達もその期待に絶対に答えないとと思いながら、石の不思議な力でエルナスまで飛んだ。


タイラス様に会ったのも久しぶりだけど、先日ナイトになったような気もする。
無事に転職証明書を3人とも貰った。
そして、魔法の種を使いジパング、エリニア経由ですぐにリプレに戻った。
「待っていました・・・轟さん」
そこにいたのは、青髪のアークメイジと、茶髪にメガネのビショップと赤髪の三つ編みヒーローだった。
「ティスさん・・・猫石さん・・・もつけさん・・・」
轟さんと同じギルドの仲間であるようで、既に準備をして待って居てくれたようであった。
「ほかのメンバーがレッドドラゴンとグリフォンと戦闘中です。いそぎましょう」
「移動しながら手順は説明する。全部ロキアから聞いてるから安心して」
3人の誘導で私達は、すぐにハルモニア様のとこにいき、話を聞いてすぐにレッドドラゴンの森へと向かった。
巨大な紅の龍は、炎を吐き出し、羽を羽ばたかせソニックウェーブを起こし攻撃してくる。
1人のヒーローが、巨大な斧を駆使しそのドラゴンと戦っている。
「おまたせ!だまさん」
「気にするな。大丈夫!」
「すぐにとどめを!」
レッドドラゴンは瀕死に近い状態で、それでも私達に牙を向け続けているのであった。
「はい!!」
私は勢い良くクレイモアを巨大なお腹に目掛け斬りかかる。
龍の断末魔は森を響かせて、巨体は倒れ無へと還っていく。
いくつかの光が激しく舞上がり、地に降り立つと共にペンダントへと変わっていった。
「1つしかでないか・・・優先はユスティーユさんだと伺っています。さあお早く」
轟さんもルティディアも焦ることはない。
優しい顔で私に微笑みかけてくれた。
そのおかげで、私は迷うことなくそのペンダントを首にかけた。
「では次はグリフォンです!」
その声と同時に全員が移動を開始する。
私も、それについて行こうとしたが、体に激痛が走る。
「ウゥッ・・・」
異変に気づいた、ルティディアが急いで駆け寄ってくる。
「大丈夫・・・あと少しだから・・・頑張れる・・・」
苦しく言葉になっているか分からない、精一杯の声を出したつもりだった。
轟さんが私の横について、肩を貸してくれた。
「一応戦士ですから・・・急ぎましょう。あと少しだけの辛抱ですよ」



グリフォンの森には1人のダークナイトが、ずっとグリフォンと闘っていたようである。
「舞踏媛おまたせしました!」
「大丈夫。もう少しで倒せるはずだよ」
全員がグリフォンを囲うように配置につき、知能の高いグリフォンも覚悟を決めたのであろうか、その場に降り立ち、静かに座り込んだ。
死を目の前にして、モンスターといえどもどんな気持ちなのかと考えて躊躇してしまう。
けど、私のために今も他の場所で闘ってくれている人がいる。
だから、私は前に進まないといけない。
「せめて・・・一思いに・・・」
私はそう思いながら、懇親の一撃をグリフォンに振り下ろそうとしたが、天から無数の光が降注ぎ、その威力によって吹き飛ばされてしまった。
グリフォンは光に飲まれ絶命したようで、その骸は光を放ちながら星型のブローチになる。
「てめえら・・・なめた真似しやがってええええええええ」
「あ、アラゾメか・・・油断した・・・」
青髪のアークメイジさんは咄嗟に回避行動をしたようで、気を失っていないが、何人かは不意打ちに気を失い倒れている。
私もルティディアも幸いに気を失ってはいないが、すぐ動けないでいた。
アラゾメは拾ったブローチを宙に投げ上げて、魔法の矢でそれを撃ち抜いた。
黒い塵となりブローチは粉砕した。
「よくもおおおおお!」
声を荒げた青髪のアークメイジにアラゾメは容赦なく、攻撃をしようとする。
放たれ光の矢は綺麗に無へと還った。
青い風が吹いたのだ。
青雲剣を手にしている轟さんによって・・・
「ある人は言いました。正義の反対は悪ではない・・・また別の正義だそうです・・・私は人を裁いたりできません・・・でも貴方は許せないです!」
自分の前に立ち塞がっているのが、4次にもなっていないナイトだからなのか、アラゾメの怒りはより一層増したのだろうか、さっきと同じ魔法の光を轟さんにだけ集中させるように降注がせる。
「轟さん! 逃げろ!!」
「大丈夫です。ティス」
轟さんは迫りくる光に剣を吸い込ませるように、斬撃を放った。
その瞬間に光は、小さく散りさっていく・・・
「アラゾメ・・・相手が悪かったな・・・轟は最強だぞ」
声のする方向にはグリュンヒルを右手に、左手には鬼胡桃といわれた、アラゾメの仲間を頭を鷲掴みにしているロキアルドさんの姿だった。
「はぁ!? やっぱオマエの仲間だからか! 禁術でも使ってるのか!?」
「その程度の思考の貴方なら、もう終わっている・・・」
その後ろからはシュウレイさんが姿を現した。
「轟は優しすぎるんだ・・・剣裁きでいうのなら既に達人だ。気迫がかけているが・・・轟にしかできない・・・活人剣の使い手なんだよ。悪意に満ちているお前の勝てる相手じゃない!」
ロキアルドさんが剣先をアラゾメに向けながら言い放った。
「そんなバカな話を信じるわけねえだろうがああああああああああああああああああ」
ロキアルドさんの話も受け入れず、アラゾメは暴走し何度も攻撃を放つが、全て轟さんに打ち消されていく。
その間に猫石さんとルティディアによって全員は回復し、アラゾメを包囲した。
アラゾメの攻撃は既に誰にも打ち消されてしまうほど、魔力を枯渇してしまったのか
攻撃しようと動作をとるものの、轟さんに何もとどかない。
「とりあえず、降参して一緒に着いて来てください・・・」
轟さんに肩を叩かれたアラゾメは、既に気力を失い、その場に座り込み静かに頷いた。
「ユスティーユ大丈夫か?」
私の辛そうな顔をしてるのに気づいたロキアルドさんが声をかけてきた。
「大丈夫だよ・・・あと少しだもん・・・」
精一杯の声のつもりが、あんまり力も既に入らない・・・
気づいたらずっとルティディアがヒールをかけてくれている。
しかし、そのヒールでは回復ではなく体力の維持が精一杯のようであった。
「いそいで、あと1匹グリフォンを探せ!!」
「はい!」
ロキアルドさんの指示で、全員は急いで探索に散って行く。
幸いすぐにグリフォンは見つかったようで、轟さんとルティディアの支えでなんとか移動し、私達の到着と同時にグリフォンに止めが刺された。
ブローチが1つ地へと舞い降りた。
それを私は手に取り、ロキアルドさんが既に手配してくれているミスティックドアですぐさま、師弟の森へと急いだ。
無論、その一行の中に、アラゾメと鬼胡桃も含めて・・・


「よくぞ、その辛い体で頑張った・・・」
ハルモニア様の言葉と共に、熱いモノが体を駆け巡り、光となって体から吹き出す感覚が分かった。
「おめでとう!」
そこにいる、大勢が私に祝いの言葉をかけてくれた。
「ありがとう・・・」
ヒーローになったとはいえ、改善はされていないのだろう。
まだ、苦痛が体を蝕んで声を出すにも辛い。
「早くメイプルヒーローを取得するんだ!」
ロキアルドさんが、ハルモニアから1冊の本を受け取り、すぐさまそれを私に読ませようとする。
受け取ろうと体を動かすも、バランスを崩して倒れてしまう。
ルティディアがすぐさま、支えてくれて彼女の腕の中で抱かれながら横になる。
渡された本を掴もうと手を差し出そうとするが、それすら満足にできない。
もう力が出なかった。
感覚が確実になくなっていく・・・
その時が今、来たということが私には分かった。
今まであった恐怖と不安は既にない。
寧ろ、ここまでしてくれた人達に申し訳なかった。
「ごめんなさい・・・折角ここまでしてくれたのに・・・」
「気にするな・・・」
声にならないような声だったけど、ロキアルドさん達には届いていたようだ・・・
「轟さん、友達になってくれたのにごめんね・・・」
「何を言ってるんですか!? 友達なんだから! ずっと友達なんだから!」
轟さんは、私の冷たくなっていく手をしっかりと握ってくれた。
感覚がなくなっていった手でも、轟さんの温かさは伝わってくる。
その温かさは苦痛をも忘れさせてくれる。
「それに、ここにいる全員はもうユスティーユさんの友達です! 仲間です!」
叫ぶようにそう言ってくれた轟さんの目から涙が流れ出ていた。
「そうだよ・・・」
もう片方の手を轟さんの相づちを打ちながらシュウレイさんが握ってくれた。
「ありがとう・・・最後は、大勢の素敵な人と一緒にいれて良かった・・・」
気を抜けば、そのまま私は消えてしまうという恐怖もあった。
「もういいんだよ・・・ルティディア・・・」
必死に私にヒールをルティディアはかけ続けてくれいる。
「それより・・・あの・・・約束・・・覚えてる・・・?」
「うん・・・」
「じゃあ・・・今・・・お願いしていい? 歌って・・・」
以前した約束、私の作詞した歌を彼女に歌って貰うという些細な約束を・・・
ルティディアは、泣きそうな表情から精一杯自分の感情を押さえ込み、呼吸を整えて歌ってくれた。

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呼吸(いき)をするように
最初(はじめ)からあたり前のように
あなたと私は 出会ったでしょう

そして共に手をつなぎ
同じ歩幅で歩いてゆくの

いつの日か
どちらかの魂が
やさしい 大海へ
いだかれるその時まで

あなたが誰かなんて
私が何者かなんて
問いかけることは
意味がないの

だからただそばにいて
ほら幸せの花が開いてく

いつの日か
どちらかの魂が
やさしい 大海へ
いだかれるその時まで

そして月日はめぐって
きっと私たちはまた 出会う
魂の約束(ロンド)
永遠の約束

いつの日か
どちらかの魂が
やさしい 大海へ
いだかれるその時まで

I belong to you
You belong to me
We return to Sea of Soul
We'll promise there to see



素敵な歌・・・
「ルティディア・・・ありがとう・・・」
これが私の最後の言葉か・・・
悪くはないよね・・・


眩い光に私は気づいた。
「貴方は死にました・・・でも終わりじゃない・・・」
光の中に見えるのは、何度か見たことのある顔であった。
ロキアルドさんやシュウレイさんが使っていたメイプルヒーローの女神であった。
「終わりじゃない・・・?」
光ですぐには気づかなかった・・・
死んだ私は魂にでもなってしまったのか、半透明の体は光を放っているが、みんなには見えてないようだ。
そして、眼下には私の死を悲しんでくれている人達がいる。
ロキアルドさんは涙を流しながらも、意気消沈しているアラゾメの胸座を掴み叫び上げる。
「これは、お前が邪魔した結果だぞ! 身勝手な振る舞いで1人を死に追いやった気分はどうだ!?」
その間に、轟さんが割って入る。
「ロキア! 落ち着いてください・・・。 それに彼も十分分かってくれているはずです・・・」
轟さんがロキアルドさんの腕を掴むと、アラゾメは無気力に地面に膝を着け、大きな声を出して泣いた。
私の死を悲しんでるのか、己の惨めさを悔いて泣いてくれたかは私も分からない。
女神が再び口を開く。
「貴女は力になれます・・・この世界全ての人の・・・」
「私が!?」
死んでしまって、いきなり世界全てとか言われても困惑してしまう私に女神は話し続ける。
「貴女は最後まで、絶望と恐怖の中でも希望を諦めなかった。そんな希望を持てる人だからこそ、世界の希望に与えれるのです。さあ、私の仕事を貴女も手伝ってください・・・」
私の魂から放たれる光の一部が、読めなかったメイプルヒーローのスキルブックに吸い込まれていく。
本は光を放ち、ページが風に靡かされるように勢いよく捲れていく。
その間も放たれ続けた光の粒子は、みんなに降り注いていき、体の中へと入っていく。
そして、宙にいる女神が手を振り上げると光の粒子は空高く上がっていく。
私には一体何が起こったのか分からない。
「ありがとう…これで世界を救える力を全ての人に…きっかけは貴女の死だったけれど、これでメイプルヒーローの力は多くの人を助けることができます」
女神は悲しげな顔で、そう呟いた。
「それなら良かったです・・・」
「貴女も今から私達の仲間です・・・よろしくお願いしますね」
「分かりました・・・」
返事した瞬間、ルティディアに抱かれていた体は光の粒子なり、スキルブックへと吸い込まれていく。
次の瞬間にはスキルブックは弾けて、その光の粒子が私の体を形とっていく。
しかし、身に纏っているモノは女神と同じ装束で、気づけば魂もそれに重なり、1つになった。
それはみんなにもハッキリ見えたようで、全員が驚いていた。
何より自分が驚いている。
光の粒子で作られた仮初めの体は今、この瞬間にも消えようとしている。
けどそれに恐怖も絶望も不安もない。
私はただ、みんなにもう一度だけ伝えておきたかった。
「今までありがとう・・・これからもみんなの近くにいます・・・またね」



~エピローグ~

私は今でも元気にやってますよ。
ユスティに手紙を書くことになるなんて思いもしなかったよ。
あなたが、私の歌が終わった後に光になって、メイプルヒーローのスキルブックに宿ったりとか不思議な出来事からもう数ヶ月も立ちます。
変な話で、あの光のせいか私と轟さんは、そのまま4次職へと転職してしまいグリト様とかも困惑してたよ。
アラゾメもユスティが死んだ原因が自分にもあるって事も、ことの経緯もしっかり理解したみたいだし、考えを改めてくれるといいけどね。
ビショップになってからも覚えることが多くて大変だった。
結局、これも縁だってロキアルドさんのギルドのとこでお世話になり、生命の根や黒い本など手にいれるのも手伝ってもらったり・・・アラゾメにも色々と手伝って貰っちゃったよ・・・
あの人なりに悔い改めようとしてるんだと私は思うよ。
ロキアルドさんも怒りながらでも、その辺りは認めてるよ。
あ、あとねバハムートを召喚できるようになったよ。
ちょっと怖いけど、名前もユスって名づけて一緒に頑張ってるよ。
名前はユスティから貰いました。
ビショップになれたのだから、これからは多くの人を助けれるようになりたいなって思ってる。
ギルドにもお誘い受けたけど、とりあえずは1人で他の生き残りの仲間を探したり、ユスティーユみたいに苦しんでいる人の助けにもなればいいなってことでやってみるよ。
今もメイプルヒーローを使うと貴女の顔が見れるかもって思うけど…いつもの女神様で残念かな。
でもいつも、貴女が近くにいてくれてるように感じます。
そんな貴女に手紙を書くのも変かなって思うけど、私も伝えたかったんだ。
あの時の貴女が最後に見せてくれた笑顔に私も救われたんだよ・・・

こっちこそ、ありがとうね・・・またね。

親愛なるユスティーユ様へ
                                   ルティディアより敬意を込めて・・・

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■■■漆黒の狂戦士 影と闇の狭間で・・・ Part4 完結
2010/05/25 Tue外伝小説etc
完結です!
まだ誤字など多そうですがこれで完結です。
シェナロダはメイプルでも、小説でも貴重なダークナイトですので今後も重宝しそうです~(~´Д`)~
ベルセルクのオマージュでしたがお分かりいただけましたか?
堕天使の子宮⇒覇王の卵(ベヘリット)
天使落とし⇒ドラゴン殺し
リビドー⇒パック
石突の散弾銃⇒義手大砲
などなどです。
他にも影響受けてるので考えながら読んで頂けると尚楽しいかもです(`・ω・´)ゞビシッ

では、シェナロダの激闘の終焉は?
バッドエンド?
ハッピーエンド?
夢落ち?(
さあどうなるかな(ノ)・ω・(ヾ)ムニムニ


アリューネスを殿に残し、他の全員は異空間から脱出した。
戻っていた場所はやはり、楓城の最上階である天守閣であった。
シェナロダは瀕死の状態であり、リビドーとの融合は未だ続いており、見かねたイオがヒールをかけるが、効果がない。
「もう・・・人ではないってことか・・・」
激痛に耐えながら声を出すシェナロダであるが、その苦痛に歪む表情はダメージだけによるものではないのだろう。
ルナがシェナロダに寄り添おうとするが、シェナロダは立ち上がり槍を持つ。
「まだ・・・終わってない・・・」
体力はもう残っていないのは一目瞭然であるが、それでも闘おうと立ち上がったのだ。
「くるぞ・・・」
負を宿しながらも、その双眸は先を常に見ているように遠くと見、まるで、全てを見通すように言い放った瞬間に、次元の歪からアリューネスが飛び出してきた。
「気をつけろ!!」
アリューネスの咆哮に続くように、次元の歪の切れ目は大きく広がっていく。
不気味な紫色の巨大なモノが突き破るように、突出してきた。
「あの野郎・・・コッチに来るために受肉しやがった・・・」
殿の体をヨリシロにして、暗黒の魔術師が転生したというのだろうか。
殿を変異させて、バケモノとして、完全なモンスターに作り変えたのだ。
巨大な蛙であり、皮膚は紫色であり毒の体液を撒き散らしながら、背中のイボからは小さな蛙を宿すまるで卵のようであった。
「さあ、もう1戦といこうか?」
不気味に響き渡る暗黒の魔術師の言葉を合図としたように全員が構えた。
シェナロダはラッシュで間合いを詰める。
それに反応するように、長い舌をシェナロダに突き放つが回避して鋭いバスターによる3撃で腹部を引き裂く。
「ただの巨体ではないぞ!」
その言葉と同時に再び長い舌がシェナロダを襲うが、左手でそれを受け止め、握り、次の瞬間には引っ張り引きちぎった。
慌てるように、体液をまるで波にように流しだす。
だが、マルゴーのファイアチャージを宿した剣と、ティスが召喚したイフリートがその波を蒸発させた。
「そうかよ! こっちにはただの仲間はいない!」
絶対的な信用と信頼をした仲間がいるシェナロダにもはや死角はない。
そして、ティスが追撃に備え既に罠を仕掛けていた魔法陣を発動させ、動けぬように封印をかけた。
「やってくれるな! 小僧が!」
激しい怒りが切欠になったのか、ガマの額に不気味に膨れ上がり、そこに暗黒の魔術師らしき顔が作られた。
「言っておくがティスはキレ者だ! お前を凌駕する魔術師かもな!!」
ロキアルドがそう叫ぶと、アリューネスとの狭撃に出る。
アリューネスのラピットフィストによる連続攻撃が行われる反対では、ロキアルドがブランディッシュの猛撃を行い、パニックを放つと同時にアリューネスのドラゴンストライクが喰らいつき、ガマの両脇腹に深手を負わせた。
ダメージの回復が間に合わないのか、苦痛の表情を浮かべる暗黒の魔術師は背中から多くのミニガエルを生み出し、射出した。
襲いかかるミニガエル1匹も、下手なモンスターより遥かに強いがこのシェナロダ達にとっては時間稼ぎにもならなかった。
生み出されたモノが瞬間に無に還って行く。
イオが放つジェネシスが、ミニガエルが攻撃に出ることを許さなかった。
「マルさん!」
ティスが声を出し、それを合図とするとマルゴーはクレイモアにブリザードチャージとサンダーチャージを合わせ、剣先を高く抱える。
インフィニティを発動させたティスはブリザードの刃をその剣先に召喚する。
ブリザード同志の因子を2人で巧みに操作し、一振りの巨大な刃を精製したのだ。
マルゴーはそれに合わせてアドバンスドチャージとセングチュアリを発動し、躊躇無く振り下ろす。
魔法陣により動きが取れない暗黒の魔術師に取っては回避不可能な攻撃である。
「くっ・・・」
小さく悔しげに声を出す暗黒の魔術師はその巨撃を全身で受けた。
僅かな抵抗であったが、軌道を僅かにずらし絶命は回避したが、両断された左半身は塵へと還っていくが、残った半身も既に虫の息であろう。
振り終わった刃は砕け、その破片が飛散することすら、暗黒の魔術師への攻撃であり、再生不可能な領域にまで達していた
「見事だな・・・よくここまでやった・・・」
既に瀕死の状況でありながらも、死をも凌駕する存在なのなら怯えることはないのであろう。
淡々とした口調で暗黒の魔術師は喋り続ける。
「今回は私の負けだ・・・」
「今回はか・・・次があれば次こそ・・・殺してやるよ!」
真っ先に啖呵をきったのはアリューネスだった。
「そうか、では1つ助言してやろう。シェナロダなら確かに次なら私を殺せるだろう。この中で一番私に届く力を持ってるのはシェナロダだ・・・だがな、ここまま行けば・・・肉体か魂か精神・・・どれかがまず壊れるだろうな・・・どうする? 退くも進むも地獄しかないぞ?」
一同はその言葉を聞きながらも、警戒は怠らず構えを崩しはしない。
狙いがあるのであれば、油断することは無論死に直結する。
そして、会話の内容からルナへの動揺も目論んでも不自然ではないため、マルゴーとイオはルナをいつでも護れる距離へと詰めた。
「警戒は必然か・・・では4長老ともある人間が、人1人を犠牲にするようなこんなやり方をすることを不自然に思わないのか? 人を人とも思っていない・・・私と変わらないではないか?」
「それは帰ってからだ!」
真っ先にロキアルドが吼える。
「必要とあれば、仲間のために長老だろうと叩っ斬る!」
「あははっ!」
それを聞いて、笑い出したのシェナロダであった。
「貴様に心配される必要はない・・・私には仲間がいるんだ・・・ルナもいる・・・必ず元に戻って!」
そう言葉を発するとシェナロダは飛び掛る。
漆黒の鎧の残像は、飛び回る影絵のように飛翔し、蛙を血肉を削り続ける。
バスターとラッシュの乱舞は繰り返され、リビドーの力なのか、人ではありえないほどの動きとなっていく。
カエルの残った前足が粉砕した瞬間には、背中に斬撃が走った。
「流石だな・・・」
それでも喋ろうとする暗黒の魔術師に対しシェナロダは最後の一撃を放とうと構える。
槍先を蛙の頭部を狙いに定め、右手を軸にして構え突撃をかけると同時に左手でスイッチをいれて槍の刃を高速に回転させる。
「お前はもう喋るな・・・ 消えてしまえ!!」
槍は今までに無い程の威力を見せつけた。
魔と闇を貫き続けた槍は、それに対しての極限まで力を示したのだ。
暗黒の魔術師は、受肉した殿の骸共々に現世から完全に消えさったのだ・・・
これで全てが終わったと思った一同に待ちうけていたの最後の試練であった。



闘いが終わり、暗黒の魔術師が消滅を確認した瞬間にシェナロダは槍にもたれかかるが、槍も寿命を迎えたのか粉砕し、寄り添うものを無くしそのまま倒れた。
シェナロダは最終決戦と思い、まさに全力で挑んだ戦いであったのだ。
体は既に限界を超え、言い変えれば生きてる骸といっても過言ではなかった。
マルゴーとティスがありったけのパワーエリクサーを浴びせても、生命維持にもならなかった。
イオが素手で触れ、直接ヒールし内部の治癒をしようとすれば皮膚が焼かれそうになった。
「何か・・・手があるはずだ・・・アリューネス!?」
苦悩するロキアルドに答えたのはアリューネスだった。
「任せてみろ・・・」
仰向けになるシェナロダの右横に座禅し頭と胸を掴む。
「ルナ! 私の額に貴方の額を当てな! 一か八かだがな・・・」
ルナは言われるがままに、シェナロダの左横に座り、アリューネスの額に額を合わせた。
「シェナロダはこのままだと、確実に死ぬ・・・だからタイムリープで過去のシェナロダに戻す!」
「そ、そんなこと可能なんですか!?」
驚くティスが声を上げた。
「だから! 一か八かなんだよ!! ルナ! 昔のシェナロダを鮮明に思いだしてくれ!」
「分かった!」
ルナの決意した表情をみたアリューネスは、ニヤリを笑みを浮かべて呼吸を整えた。
「んじゃ始めるよ!」
アリューネスが叫ぶと同時に、時計の針のような2つの光の筋が現れて、仰向けになるシェナロダの中心に回り続けた。
アリューネスもルナの表情も変わりもしないまま、2つの光の筋が何回も回転し続けた。
通常ではありえないほどの巻き戻しであり、時間を禁忌的な手法で無理をしているのだ。
時間の神殿の歪をあけたほどのアリューネスだからこそできる芸当であった。



そんな中シェナロダの深層心理でリビドーと対峙してた。
「すまなかったな・・・契約を果たせなくてな・・・」
「気にするな・・・シェナロダ。お前には十分感謝してるぜ・・・」
魂と魂、精神と精神の会話であり、お互いの心が手に取るように分かった。
「感謝とか、らしくないな?」
「そうか? 感謝してたぜ。それに最後だしな・・・」
「おい! まだあいつを倒してないぞ!」
最後という言葉と同時に色んな感情が2人を交錯した。
「お前には仲間がいるだろ? 俺にはお前だけだったが・・・お前は生きろ」
「おい! 1人で決めるなよ!
「聞こえるだろ? 呼んでるぜ・・・烙印は特別サービスだ・・・俺が持って逝ってやる・・・」
シェナロダにも確かに聞こえた、遥か遠くから自分も呼ぶ声のようなモノが・・・
でも、今はそれよりも自分をおいて消えてしまおうとする相棒のことが気になっている。
「リビドー! 待てよ! リビドー!」
精神の中で、近くにいるようで遥か先にいるような距離感がない世界でシェナロダは必死に手を伸ばし、走るようにリビドーを追いかける。
「俺はリビドーだ。お前の本能として、生きる糧として・・・魂に残り続ける! 楽しかったぜ・・・じゃあな!」
リビドーの残影が消えると同時にシェナロダは意識を取り戻した。
伸ばした手の先には涙ながらシェナロダを見るルナがいた。
鎧も既に粉砕し、鎧と体に寄生していたリビドーも既に存在していなかった。
手に触れる暖かさはルナの体温と涙であることに気づき、慌てて手を放す。
「もう大丈夫だよ・・・」
ルナはそう言いながらシェナロダの手を握り直した。
「そうか・・・」
シェナロダは全てが終わった安心感と相棒を失った喪失感を味わいながらも、今はこの幸せな瞬間を噛み締めていた。
「そうかじゃないですよ?」
イオが腕を組みながら見下ろすように言う。
「イオさんだって嬉しいくせに。ルナさんのためだと言いながらもずっと心配してたじゃないか?」
ティスがその様を笑いながら言う。
「て、ティス! 黙ってなさい!」
そのやり取りを見て疲労困憊で座ったままのアリューネスと、それを気遣うロキアルドも笑う。
そして、仰向けになったままのシェナロダに手を差し伸べながらマルゴーが言った。
「おかえり、シェナロダ」
シェナロダはその手を掴み立ち上がった。
「ああ、ただいま・・・みんな」
漆黒の狂戦士の1人だけの闇と影の中を歩み続けた熾烈な旅は終わったのだ・・・
「ただいま・・・ルナ」
握っていた手を放し、強くルナを抱きしめる。
それを身を任せながらルナがいう。
「遅いぞ・・・バカ・・・」



「急ごうぜ、シュウレイ」
「急ごうも何も・・・ロキアが長老達にかなりふっかけたからだろ? 取引に時間かけすぎだ」
ロキアルドとその嫁であるシュウレイである。
シュウレイの青い空色の瞳に雲を映しながら、風に青き髪を靡かせたラデアという髪型が崩れそうになりながらも、2人で静かな町の通りを進む。
「公にしないことを交換にするのなら、もっと払ってくれても良いと思うがな・・・」
「ルナさん達のためだからといって・・・徹底的にやったな・・・」
「だろ?」
ロキアルドは先の暗黒の魔術師との戦いが終わったあとギルドメンバーを使ってまで、情報収集に錯綜し、4大長老が管理する資産から、シェナロダの闘いと思われる奇怪な事件を全部調べたのだ。
これにより、法外ともいえる慰謝料をシェナロダのために取ろうとしたのである。
形式上は報奨金として支払われるが、仲間の苦悩を思えばは安いということでギリギリまで交渉し、取れるモノは全て取ろうとしたのである。
そして、今日はシェナロダとルナの間に待望の第1子誕生ということで、その祝賀会に向かう事となっていたのだ。
「お、みんな揃ってるな・・・」
元より人望のあるシェナロダとルナのために多くの人間が集まっている。
無論その中にはマルゴー、イオ、ティス、アリューネスもいた。
「みんなは赤ちゃん見たの?」
「はい! 凄い可愛いです! 本当ルナさんに似て良かったです!」
シュウレイの問いにイオが大きな声で答えるとシェナロダはそれに冗談混じりで怒り、大勢の人間が笑った。
「うんで、その可愛いはどちらですか?」
「ルナさんが暖炉の前で抱いてますよ」
シュウレイの問いにティスが答え、シェナロダの案内でロキアルドとシュウレイはルナの元へと向かった。
「本当に可愛らしいお子さんですね」
シュウレイは感激しながら、赤ん坊の顔を見る。
赤ん坊はルナの腕の中でスヤスヤと眠っている。
「ああ、本当だ・・・元気そうな子ですね。将来が楽しみだな」
ロキアルドがそう言いながらシュウレイの背後から赤ん坊とルナを見た。
「ありがとう」
ルナは優しい表情で、赤ん坊を見ながら御礼を言った。
「ところで女の子? 男の子? それで名前は?」
その問いにシェナロダとルナは満面の笑顔で答えた。

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■■■漆黒の狂戦士 影と闇の狭間で・・・ Part3
2010/05/07 Fri外伝小説etc
一気に完結しようかとおもったけど・・・
時間がない\(^o^)/
とりあえず更新しないとと書き溜めていた部分をちょいと・・・
「マルさんは知ってたの?」
ルナの問いにマルゴーが答えるまえに、ロキアルドが言う。
「知ってはいたが、何もできなかったってとこだろ?」
4人の眼下では、シェナロダはカイリンの元で訓練をし、知識と新たな力を蓄えていく様が見受けられる。
そして、堕天使の子宮が関わって良そうな事案を処理する担当にまで任せられ、その過程で偶然出会ったリビドーと契りを結び、その潜在能力を覚醒させていった。
瞼を閉じようとしても強制的に見せられる、その光景をロキアルドは怒りを露にし、ルナは涙を流しながらも、その双眸に刻んでいた。

孤独の中に影を広げ・・・
傷つきながらも闇を彷徨う・・・
紅の眼に映る敵を見ては、その先にあるルナとの幸せを取り戻すために。
禍々しい血を浴びながらも、決して邪悪にも染まる事のない漆黒の強き姿。
数々の苦痛・苦悩を受け止めて、それでもその歩みを止めなかった。
異形の姿になろうとも全ての元凶を打ち滅ぼそうとする覚悟もあった。

その光景も全て終わり、マルゴー達の五感は戻り、周りは先の異空間となった。
そこでは暗黒の魔術師がシェナロダに激痛を与え苦しめていた。
暗黒の魔術師の右腕が無数の触手となり、首を絞め、手足とリビドーを侵食するかのように同化している。
口に溜まった血が声を出すことすら許さず、苦しさを一層に増させる。
「強い精神力だな・・・こいつも君たちも・・・」
言葉を発するよりも、先に体が動いたのだろう。
マルゴーがいっきに距離を詰めて、暗黒の魔術師にセングチュアリから、プレッシャーをかけ、ラッシュで間合いを詰め、バスターを放ち、ブレストで貫いた。
その猛攻に、耐えれるわけもなく、体勢を崩し深手を負う。
攻撃を終えるマルゴーの後ろから姿をだし、死角からロキアルドはブランディッシュで何度も斬りつけ、勢いそのままでパニックで暗黒の魔術師の右腕を斬りおとした。
本体から離れた仮初めの腕は触手共々消えて、シェナロダは解放された。
その傷を癒そうとイオが近づきヒールをしようとするが、シェナロダはそれを制止した。
バーサクは極限まで発揮されており、イオですら近づく瞬間に恐怖した。
「イオさん・・・このままで良い・・・」
そういうとシェナロダは体勢を立て直し、マルゴーとロキアルドと共に暗黒の魔術師に仕掛ける。
鬼気迫るとはまさにこのことを言わんばかりに、3人の猛撃は緩みはしない。
ダメージを受けながらでも反撃を緩めない暗黒の魔術師もまた、凄い。
「流石だが・・・シェナロダだけ差し出せば無事に帰れたモノを・・・」
暗黒の魔術師はこの攻守の中で喋りながら呪文を唱えていた。
残った左腕を掲げ、すぐに下げると、協力な衝撃波と共に無数の氷の刃が襲いかかる。
シェナロダ達、戦士3人はルナとイオに襲いかかる刃を全て撃ち落とす。
そして、この攻撃が止むこともなく、何分をも続いた。
こちらの攻撃を許さないという状況なら、あと少しで暗黒の魔術師を追い詰めることもできる。
しかしながら、シェナロダ達も攻撃を続ける余力もなくなり、深手のシェナロダが意識が失いかける瞬間に、リビドーの意識が戻り、刹那に灼熱の炎を吐き出し刃を防ぐ盾となった。
炎を出し続けるリビドーは無論喋れるわけもなく、シェナロダの体を借りて話し始めた。
「脱出するんだ!」
そこに疲労したロキアルドが言い返す。
「試行錯誤したが、全員は無理だ!」
「ミスティックドアを出せ!」
「そんなのもう試しましたよ! それでも駄目だったんです!」
「もう一度試すんだ・・・」
反論したイオを諭すように、マルゴーが指示すると、イオは魔法の石をとりだし呪文を唱える。
だが、ドアは魔法の扉は開かれることはなかった。
しかし、魔法の石は砕けて塵となり、それがロキアルドのグリュンヒルに付着した。
「今なら次元を斬れる! やれっ!?」
リビドーが叫ぶのはロキアルド宛ではなく、グリュンヒルにと声が飛ぶ。
呼応したようにグリュンヒルに付着した塵が不思議な力を放つ。
促されるままに、ロキアルドは大きく剣を振るった。
斬られた空間は光を放ち、拡大されていき、人が出入りするには問題ない大きさとなった。
「いけえええええええええええええ!!」
リビドーの叫びに、マルゴーが言い返す。
「リビドー! シェナロダを置いてはいけん!」
「シェナロダの気持ちも汲んでやれ!」
「くっ・・・」
苦渋の表情をするマルゴーの横でロキアルドが決死の覚悟で剣を構えてシェナロダの元にいく。
「マルさん、こいつを連れていけ! 私が殿を!」
「駄目だ!」
リビドーもまた必死だ。
「くだらないやり取りしやがって・・・」
その言葉から、暗黒の魔術師かと思ったが、紅のバンダナから癖っ毛がでていている海賊が空間の穴から飛び出すように姿を見せた。
「このアリューネス様が来た以上! 誰1人、死なせるか!!」
その後ろには、白いセフィロスを被った、淡い碧の双眸を覗かせる魔法使いがいる。
「マスター、マルさん。遅れながらも推参です!」
「アリュ! ティス! 良く来れたな!?」
「ティス遅いぞ!」
2人の姿に感激するロキアルドに、冗談を言えるほどの余裕を見せるイオ。
ここにきてありがたい援護である。
「ロキアルド! 暗黒の魔術師は私に任せろ・・・」
そういうと、アリューネスは光り輝くオーラに身を包んだ。
スーパートランスフォームだ。
「分かった。ティス、撤退だ。ここはアリュに任せるぞ!」
ティスはリビドーが解いた炎から襲ってくる刃をマナリフレクションで跳ね返していく。
深手のシェナロダをイフリートによって運び出した。
その返って行く、刃より早くアリューネスは光となり暗黒の魔術師に攻撃を仕掛けた。
「久しぶりだな! あいつの仇・・・取らせてもらうぞ!」
デモリッションにより、暗黒の魔術師もその動きに追いつけず、連続で打撃を受けて舞い上がる。
「あのときの騎士か!? 今日は本当に厄日なのだな!」
「命日にしてやってもいいんだぞ!!」
ドラゴンストライクの顎が暗黒の魔術師に喰らいつくも、暗黒の魔術師も魔力を一気に放ち、ドラゴンストライクを打ち消す。
禍々しい光と怒りの雷の光が激しく衝突しては、粒子が周囲の闇に飲み込まれていく。

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■■■漆黒の狂戦士 影と闇の狭間で・・・ Part2
2010/02/10 Wed外伝小説etc
前編・後編でお送りさせていただこうと思ってましたけど・・・
前編と後編の長さが違いすぎる気配があってやめました(´゚ω゚):;*.':;ブッ
半端になりますが続きです!

漆黒の狂戦士とかつての仲間。そしてルナ・・・
シェナロダ達はどうなっていくのか!
その目で御覧あれ!

帰宅中に気づいてくれればいいけどながお~(~´Д`)~












世の理が通用しない、そんな空間に違和感を感じさせる。
空に浮かぶ雲のような赤と黒いような空が果てなく続き、2つの色は模様のように絡み合い、人のおぞましい顔にも見たと思えば消えていく。
重力という縛りもなく、全員浮くように構える。
「こ、ここは・・・?」
真っ先に口を開いたのはロキアルドであった。
マルゴーと2人で辛うじて忍頭を倒し、シェナロダに合流しようと来た矢先に視界を奪われ、気づけばこの現状に動揺を隠しきれていない。
シェナロダは全てを分かっていたかのように、殿以上の力が放たれる方向に構えていた。
また、マルゴーも構えるがその側には2人の女性がいて、盾になるポジションにいた。
「なんでここにいる!?」
シェナロダはかつてないほどの叫び声をあげる。
「ご、ごめんなさい・・・」
その声に反応したのは、黒い帽子と服を纏った女魔法使いである。
「ろ、ロキアさんから連絡があって・・・」
「イオのせいじゃない・・・それに私も同じ考えだった」
マルゴーはそのイオという女性のフォローをする。
とんでもない状況で、かつて体験したことのない状態であるのだ。
誰もが緊迫する中で真っ先に行動したのは、ルナと呼ばれた女性であった。
まともに動くことも叶わない、空間を魔法のテレポーテーションで巧みに動きシェナロダの側まで飛んだ。
「馬鹿ッ!!」
ルナはそう叫ぶと、平手打ちしたがシェナロダはそれをかわす。
シェナロダは視線を彼女に向けることなく呟いた。
「ルナだけは・・・これ以上巻き込みたくなかった・・・」
「茶番は終わったかね?」
その言葉は、空間の中に響き渡るように全員の耳に入る。
「私の時間はあるんだが、君達のために割く時間は1秒すら惜しいのだがねえ・・・」
不気味なほどに放たれる禍々しい巨大な力は、シェナロダとマルゴーの構える先にいる者からであり、この声も同じ者からであることは分かる。
不自然にその男の周りには磁場でも発生してるのか、不気味に本や研究機材のような物が浮遊しながらも、その配置を維持していた。
「お、お助けください・・・」
声にならないような声で弱りきった殿が懇願するように、その者に近づく。
「ああ、君も試験体の1匹だったね? 無様なまでに見事にやられているね・・・」
「ど、どうか・・・もう一度に新しい肉と力を・・・あ、暗黒の魔術師様・・・」
その名前を聞いて驚愕した。
先の大戦を起こした、凶悪な魔法使いであり封印されているはずの存在が目の前にいる。
だが、シェナロダだけは全てを知っていたかのように落ち着いていた。
驚愕していたルナの手をとり、腕力だけでマルゴーとイオのいる方向に飛ばした。
無重力だけあり、ルナの体は流れるように2人の元にいき、マルゴーが優しく受け止めイオにルナの身を委ねた。
「シェナロダ・・・狙いはこいつだったのか・・・?」
ロキアルドが問いかけると、シェナロダは黙って頷いた。
「リビドー! 契約を果たせ!!」
シェナロダは嘗てないほどの殺気に身を任すように叫び上げる。
同時に放たれるドラゴンロアには、禍々しい力が混じり合い、攻撃対象ではないルナ達にまで恐怖させ、殿と暗黒の魔術師には攻撃として衝撃波が襲い掛かる。
殿は直撃し、皮膚を切り裂かれ、纏っていた服は血の色で赤黒く染まる。
だが、暗黒の魔術師は何事も無かったかのように振舞う。
その表情は、集る小虫を追い払おうとするような・・・
次の瞬間に弾丸のような勢いで暗黒の魔術師をシェナロダは貫いた。
槍の刃先を高速に回転させ、リビドーがシェナロダの背中に寄生したかのように体に繋がっている。
背中のリビドーの羽は巨大化し、シェナロダの羽のようになった。
「ほぉ・・・黒龍とか・・・」
体を槍が貫いてにも関わらず、動じず淡々を発せられる声には余裕を感じさせる。
だが、シェナロダもこの一撃で決まったと思っていない。
「やれっ!!」
シェナロダが首を左に倒すと、背中に寄生していたリビドーが暗黒の魔術師に向かって口を開き、灼熱の紫色の光を放った。
それは暗黒の魔術師の顔面を捉え、その光に押され吹き飛んでいく。
しかし、その光の攻撃は暗黒の魔術師に直撃したままで、力に押されていく様は力なき人形のようである。
だが、この灼熱の攻撃を受けても消滅しない暗黒の魔術師はまさに化物であろう。
「た、倒せるのか!?」
ただ、剣を構えることしかできない自分に歯がゆさに苦渋の顔をするロキアルドがシェナロダに声をかけた。
そして、その隣でルナとイオを自分の後ろにし盾になるように構えるマルゴーもまた同じである。
「倒す!」
その声と同時にリビドーの攻撃は終わり、またシェナロダは羽を使い弾丸の如く突進した。
4人を遥か後方にし、シェナロダは本気を出せる環境を作ったのだ。
リビドーもそれを理解していた。
リビドーはその巨大なアギトでシェナロダの右肩に噛み付いた。
すると、右肩から皮膚は黒く染まり見つけていた鎧ごとリビドーが寄生していった。
不気味な装甲となった鎧の中にあるシェナロダの腕には竜と己の肉体を融合したことによって起きた拒絶反応により、激痛が走る。
だが、負の感情に身を委ね、それでも理性を失わない精神と魂には全くの問題にならず、激痛により体力の増減になく右腕でバーサクを放ち続けるようになったのだ。
無論、人間の限界であるマンポイントすら無視した無謀ともいえる闘い方である。
通常の人間なら先の激痛でショック死となってる程であるが、リビドーはシェナロダのダークスピットをも取り込んでおり生命維持の役割も果たし、脳内麻薬の分泌を異常なまで高めることと、シャナロダの屈強な精神力で耐えているに過ぎない。
「お前の魔力を全て! 貫いてやる!!」
フードは既に消滅し、光線で頭部は火傷しており、皮膚が爛れている暗黒の魔術師に槍を深く突き刺した。
左手でその頭部を掴むが、爛れた皮膚に滑る。
その刹那、シェナロダは指を両目に指し込み、親指は口に差し込んだ。
常軌を逸した闘い方ではあるが、狂戦士となった彼は勝つ為には手段は選ばない。
ただ、シェナロダは完全に堕ちてはいなかったのは事実でありが、今堕ちようとしてるのもまた事実であり、シェネロダ本人もリビドーもそれに抗うことをしない。
そして、その狂気の沙汰で行われる攻撃全てを受けてもなお、無抵抗の暗黒の魔術師の体は、既に肉の塊となっていた。
左手に握られた頭部の下にあった肉体は、右手の槍によって執拗なまでの攻撃を受け続け、体の形ではなくなっていた。
「見事な攻撃だ・・・撒いたのを忘れていた種が見事なまでの実を実らせたとなれば申し分ない喜びだよ・・・」
ボロボロになった頭部の顎は微かに動く程度にも関わらず、ハッキリとした声が響いた。
シェナロダもそれがその頭部から発せられたことを理解し、放り投げ最大の攻撃力を発揮しようと槍の構え、バスターにてその頭部を粉砕した。
シェナロダの技量に、リビドーとの融合によって発生する魔力が加わったバスターの3連の突きは細胞の1つすら残すことを許さず、鋭い突きというアギトは喰らい尽くした。
これで全てが終わったと思ったシェナロダとリビドーは4人が待つ所へと飛んだ。


「イオさんやはり無理か?」
「は、話かけないで! 集中してるから!」
この浮遊の感覚にもなれ、移動することも少しではあるが4人も出来初めていた。
イオはこの異空間から脱出するためにミスティックドアを開こうとしていた。
ロキアルドの思いつきではあるが、なにもできない現状では出来る事をやろうと4人はしていた。
無論シェナロダの後を追いたかったが、闘うにしても敵地であの暗黒の魔術師を準備もせずに挑むのは無謀だと判断したのだ。
「やっぱ、意識を外に飛ばせない・・・」
失敗し消沈するイオにマルゴーが声かける。
「イオ。君だけが頼りだ・・・大変だろうが・・・」
「任せてください!」
マルゴーが声をかけた瞬間またやる気を出してやり直すイオ。
「ルナさん・・・」
ロキアルドはルナを気遣い話しかけようとする。
「大丈夫・・・気遣いはいらないよ。無事に生きてるって分かっただけ・・・」
行方不明だったシェナロダを見つけての安堵と、今そのシェナロダは1人で暗黒の魔術師と対峙している不安。
相反するような2つの感情を1人で御することは、この状況下でなくとも大変なことであろう。
これ以上不安要素を出さないようにと必死に耐えているルナに、何もできない己に歯がゆい3人もまた辛い。
「マルさん・・・悪いな・・・」
「どうした? ロキア」
いきなりの謝罪の言葉にマルゴーは理解できなかったが、ロキアルドが手にする物ですぐに察した。
「ルナさん。イオさん。いざって時はこれを使ってみてくれ。場所の設定はシュウレイの故郷だ」
ロキアルドが2人に差し出したのは蒼く光る特別なテレポートストーンであった。
「数は残り2・・・女性を優先ってことだ。あと最悪シュウレイによろしく頼む」
「な、何言ってるんですか!? 帰りを待ってる人がいるですからロキアさんが使うべきです!」
イオを反発するように叫ぶ。
「ロキアの気持ちも察してやれ・・・それにルナさんを1人で帰すわけにはいかない。わかるな?」
マルゴーは宥め諭すように言うと、言い足りない顔をするイオは黙って頷いた。
「まあ、最悪使うことになればだ・・・だからな」
そんな会話の中、1つの力がこっちに飛んできた。
マルゴーとロキアルドは慌てて構えるが、それは異形の鎧を纏ったシェナロダの帰還であった。
「終わったよ・・・全部・・・」
そうルナの顔を見ながらシェナロダを言った。
「お、おかえり・・・シェナロダ」
涙を流しながらも笑顔でルナはそう言った。
「ただいま・・・ルナ・・・」
そう言い終わり、ルナの顔を見入るシェナロダに突如として現れた存在がぶつかり、ルナの視界から消えた。
それは禍々しいオーラの塊のような、まるで幽霊のように人のような形となったモノである。
「よく我新しい肉体を消し去ってくれたな・・・復活までにまた時間が掛かってしまうではないか?」
それは暗黒の魔術師の魂と精神というべきモノである。
「今は仮初めの体・・・私の魔力を具現化してるといったところかな」
禍々しいそのオーラは人の形から異形となり、まるで触手のようにシェナロダに絡み付く。
「き、貴様・・・」
「先ほどは随分とやってくれたな? 不死とはいえ・・・痛みは感じるんだ・・・仕返しはさせてもらおうか?」
シェナロダの脇腹にいくつもの触手が突き刺さり、鈍い音が響く。
マルゴーがすぐさま、ホーリーチャージのブレストを放ち、暗黒の魔術師を貫く。
その攻撃で暗黒の魔術師はシェナロダから突き離され、間髪入れずホーリーチャージのかかったパルチザンでバスターを連続した。
聖なる力を持ってすれば、確かにアンディットのような存在にもダメージが期待できるからの判断であり、それは正解であった。
「ほぉ・・・これはまた・・・伝説の英雄の由縁があるものがいるとはねえ」
攻撃を受けながらも、舐め回すようにマルゴーを見た。
「類は友をか・・・貴重な人材の周りにはやはり良い人材が集まるのだな」
そして、動きを止めた暗黒の魔術師の背後に回り込んだロキアルドも、斬撃を放った。
「ほぉ・・・こいつも面白い・・・魔剣に魅入られた者か・・・」
ロキアルドのグリュンヒルを見終えたら、4人との間合いを取る。
「面白いサンプルばかりだな・・・よし、お前らは帰してやる。私が完全に復活する時までに、頑張って励むのだな・・・」
だが、シェナロダも4人も敵の言葉を真に受けることは決してせず、警戒し構えた状態で暗黒の魔術師との均衡を保った。
「ならここで1つ、余興でも・・・面白い話を見せてやろう」
暗黒の魔術師はそう言うなり、シェナロダの頭を指差す。
シェナロダの表情は一瞬険しくなったかと思えば、すぐに意識を失った。
「何をした!?」
ロキアルドの咆哮が木霊した瞬間には、全員の五感は失われていた。


眩い光が当たりを照らす。
さっきまでいた異質で冷たい空間ではない。
ここはヘネシスの中である。
温かい日差しで、五感が再び戻ったことを感じとった。
「ここは?」
イオはさっきまでの出来事をリアルに覚えており、ヘネシスの光景が見えるがそれを事実として認めることを危惧し慎重に観察をし始めた。
まわりには大勢の人間が慌しく動き回っている。
「これは・・・あの時?」
「イオもそう思うか?」
イオが声したほうを振り返るとそこにはマルゴーがいた。
「あの時の光景だ・・・おまけに私達もそこにいるぞ」
マルゴーが示す方向には、1枚の紙を何度も小さい声で読み返すイオと、その隣でプレゼントと思しきワインを確認しているマルゴーの姿だった。
「やはり、これって・・・」
「過去の話なのね・・・」
そして、ルナとロキアルドも姿を見せた。
「恐らくだが、これはシェナロダの記憶からの再現だろう」
ルナがそう口にすると、あの声が聞こえてきた。
「正解だ・・・お前達にも見せてやろう。私の実験の1つをな」
暗黒の魔術師の声が途切れた後、風景は映画のように切り替わった。
シェナロダは、牧師の前でルナが現れるのを今か今かと待ちわびている時である。
教会の中は祝福しようと駆けつけた多くの人で満員となっていた。
「私はこの時、ギルドの仕事で遅れて・・・外で待っていたんだ・・・この後に一体何が?」
ルナはお色直しで、状況は無論知らない。
この式場に参列していた、マルゴーとイオは知っているはずだが、今日までそれは黙っていた。
無論、ルナやロキアルドが何度も問いただしても答えなかったことから、普通ではないことが起きたのだろうと察してはいた。
ルナの登場を今か今かと待ち侘びている中、その事が起こった。
1人の盗賊が立ち上がり、手にしている紅い肉の塊のような物に自分の血を浴びせ、高くそれを掲げた。
誰もが、ルナのお色直しが終わるまでの余興と思った。
何が起こるのかという期待まであったのだ。
だが、シェナロダだけは違った、そんな話も聞いておらず、またルナの知人関係も把握しているだけに、参列者ではないと分かったのだ。
シェナロダは慌てて、その男の元へと駆け寄る。
そして、本物の流れ出る血の匂いは教会に充満するまで時間はかからず、ほかの人間も余興にしてはと疑問を持ち始めた時であった。
「さあ、ショーが始まるぞ。見ておけ・・・祝福の中で行われた殺戮だ!」
男が叫ぶと、紅い肉の塊は風船のように膨らみ、次の瞬間には男を飲み込んだ。
男のは紅い肉に包まれるようにそこに倒れると、その表面からは多くの触手が現れたのだ。
触手は、参列者を次々と突き刺していく。
男の倒れた周辺にいた人間は精気を吸い取られ倒れていく。
そして、教会はパニックになった。
大勢は我先にと出口からでようとかけだし、人に寄っては窓を突き破って逃げていく。
シェナロダは、近くにあった儀式用の蝋燭立てを槍代わりに突撃し、その異形の者を止めようと攻撃をした。
そして、歴戦のダークナイトだけあり、蝋燭立てではあるが致命傷を与える。
死にかけたその異形の者は苦し紛れに、シェナロダに攻撃をしかける。
無数の触手を回避し、再び攻撃しようとした時に、教会の床を突き破った1本の触手がシェナロダの腹部を襲う。
不意の攻撃に倒れ込むシェナロダが苦しみ、胃液を吐いた。
その瞬間に触手の1本が口の中に指し込み、紅い肉のような物質はシェナロダの体内に入ろうとしたが、マルゴーのセングチュアリという聖なる鉄槌が押し潰し、イオが召喚したバハムートが放った灼熱の炎で残った肉片を消滅させた。
「何が起きたんだ・・・」
今のロキアルドと過去のマルゴーの声が重なる。
教会に所属する人間がシェナロダと精気の吸われていった人間の手当てをし始めた。
シェナロダだけはすぐさま、教会の別室に運ばれていき、イオはそれに付き添っていく。
そして、マルゴーは教会に慌てて入って来たロキアルドとその関係者に、式の中止する旨と周りのパニックを収めるように願いでた。
「あの紅いのは・・・」
「そうだ・・・私が愚かな人間にくれてやった実験道具【堕天使の子宮】だ」
ルナの問いに暗黒の魔術師が答える。
「詳しいことは今から分かる」
シェナロダの意識が戻り、風景はそこに変わる。
教会の奥の部屋にシェナロダは拘束服を着せられ、更に鎖で服の上から縛られていた。
「なんだ!? これは!?」
そして、そのシェナロダの周りを囲むように4人が立ち尽くしている。
そして、赤いローブの女性が声を出す。
「貴方は魔に侵されました・・・」
「お前はここで選ぶのだ・・・」
「君はここで良き者とし死ぬか・・・」
「貴公は闇の中で、己の復讐を果たすか・・・」
いきなりの問いかける内容のも驚くが、それを言ってきたのがエルナスの4長老のロイベラ・タイラス・アレク・レネだったことにもシェナロダは驚愕する。
「それだけで状況が分かるわけがないだろう?」
冷静にシェナロダは問い返した。
すぐさま、タイラスは手袋をするとシェナロダの口を開かせて、舌を引っ張りだした。
「ふぁみをふうう(何をする?)」
タイラスが舌を持つ手を、アレクが鏡に移す。
シェナロダの舌には異様な紋章のように烙印が刻まれていた。
「そいつは、闇の狂紋と呼ばれる類だ・・・無意識に闇の悪霊・魔物を寄せ集めてくるぞ」
レネがそう説明すると、暗闇の中に光が差し込んだ。
扉を蹴破って、女が1人入ってきたのだ。
「暗黒の魔術師関連の話なら逐一私に報告するのが約束だろ?」
逆光によって、すぐに判別は出来なかったが、そこに居たのは海賊団のトップである女海賊のカイリンであることがシェナロダにも分かった。
「こいつは死して終わるより、絶対生きて戻ることを望むに決まっている。くだらない前置きはやめろ。これだから年寄りってのは・・・」
カイリンは文句を言いながら、拘束されたシェナロダを担いで出て行く。
「こいつに直接見せてやる・・・あとは私が引き継ぐから年寄りは年寄りの仕事をしててくれ」
「おい! おい!」
シェナロダの叫び声を意ともせず、連れ出していく。
そして、教会の反対側にある墓地の近くまで来たら、夜の闇の中に投げられ、地に落ちる前にカイリンが銃から放ったラビットファイアで鎖と拘束服は粉砕された。
シェナロダは受身をとり、その場にすぐに立ち上がる。
上半身の裸であり、下半身には式で身につけていたズボンだけとなっていた。
「何を見せるっていうんだ?」
その問いが答えられる前に、不気味な光がいくつも現れた。
「お前にしか見えないだろう? 私には感じることしかできない・・・」
シェナロダはすぐさま、落ちていた枝を拾って、それを武器の代わりとして迫ってくる光を打ち払う。
しかし、千切れた光はしばらくすると繋がり、またシェナロダへと向かってくる。
カイリンは隠し持っていた武器をシェナロダに投げつけた。
「そいつを使え、特注品だ。お前が以前強化失敗して処分したやつの1本を、偶然にもうちのセリルが改造した特殊なアルシュピス【天使落とし】だ」
受け取ったシェナロダは、あのアルシュピスがなぜこんなにも短いのかと疑問に思った。
「あ、すまん。柄にスイッチがあるはずだ、探して押して見ろ」
シェナロダは疑問に思いながらも、柄にある不自然な凹凸を触ってみる。
1つのボタンらしき部分に触れた時、石突きのほうから轟音と共に無数の銃弾が発射された。
そして、向いていた地面のほうは散弾により、抉られていた。
「あ、仕込み銃の機能もある気をつけて使うんだな」
「先に言ってくれ!」
そして、目的のスイッチを見つけたシェナロダは天使落としを通常のサイズへと伸ばし、迫ってくる光と蹴散らしていった。
振るっても突いてもてごたえを感じさせない。
素振りをしているような妙な感覚にも関わらず、迫り来る気配には恐怖と憎悪を感じる。
「今日からお前は、闇の狂紋を消せる日まで闘い生き残らなければならない!」
カイリンがその言葉を発した時には、全ての光は無に還っていた。
「だが、俺には帰るべき場所とそれを待つ仲間達だっている・・・」
シェナロダがそういうとカイリンは左手の手袋を外し、シェナロダの肩を掴んだ。
すると、カイリンの左手からは肉が焼かれる臭いと煙が発せられる。
驚きながらシェナロダはカイリンの手を払った。
すると、シェナロダの肩は何も異変はないが、カイリンの左手の皮膚は火傷をしたかのように水ぶくれと皮膚が爛れていた。
すぐさま、それにエリクサーをかけて傷を癒す。
「今のお前では、大事な仲間と最愛の女を悲しませることだけになる・・・お前の生存はセイラムの生まれ変わりには話している・・・」
シェナロダは自分の変異に驚き、その場に力をなくしたかのように座り込む。
すると、小さな光がまだシェナロダに近づいてきた。
小さすぎる光の悪霊はカイリンにその存在を気づかせない。
そして、シェナロダに触れた悪霊はその魂と精神を封じて体を乗っ取ろうとした。
「うわああああああああああああああああ」
シェナロダの異変に気づいたカイリンはエナジーオーブを飛ばし、その悪霊を粉砕した。
「お前はもう気を落とす暇も、まともに眠りにつくこともできない・・・」
カイリンのおかげでのっとられる前に正気に戻り、改めて自分の状況を理解していく。
「カイリン。あんたは色々と詳しそうだ・・・俺にもっと情報と力を・・・」
「ああ、着いて来いシェナロダ。教えてやる。暗黒の魔術師の存在とその力を。今一度言うぞ!お前は今から闇の中で、戻るために生きて闘うという事を忘れるな!」

テーマ:メイプルストーリー - ジャンル:オンラインゲーム

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プロフィール

ロキアルド

Author:ロキアルド
血液型  A型
星座   天秤座
趣味   映画観賞 

ゲーム内:


名前:ROKIARUDO
職業:戦士(ヒーロー)
サーバー:あんず
所属ギルド:【AnotherSlash
「蒼い剣士」愛称ロキアを主人公にメイプルストーリーの設定などを生かしながらオリジナルの小説を書いていきたいと考えております。
上記のプロフィールの素敵な絵はシュウレイ様が描いてくださいました。
当サイトはリンクフリーでございます。
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